※現パロ


ガタンガタン、と電車が揺れる度に、立って隅の方に寄り掛かっている俺の身体も揺れる。適度に満員の電車の中は、いくらクーラーが掛かっていても少し暑い。ちらりとすぐ隣を見れば、スコールが窓の外をぼんやりと見つめていた。その横顔はいつ見ても綺麗だなと思う。細い顎に、鋭利な眼差しに、女じゃなくとも呆けてしまいそうになる。
夕方の、学校の帰り道。俺は大学生、3つ下のスコールは高校生。俺の場合バイクの免許も持ってるから通学くらい電車なんか使わなくても良いのだが、でもわざわざ使うには理由がある。
「スコール、」
名を呼べば、スコールは気だるげに視線だけを俺に寄越す。
「今日、久しぶりに家に寄ってけよ」
今日はバイトも休みで、金曜日で、お互い学校は休みで、俺も一人暮らしで。理由は幾らでもあったし、作ることもできる。毎日夕方の帰宅ラッシュの時間帯、俺とスコールは同じ電車の同じ車両に乗る。だって、離れたくないんだ。俺と彼の時間配分は違うから、こんな時くらい、我が儘言ったっていいだろ?
「…わかった」
一言頷いて、スコールは目線を窓の向こうへと戻した。澄ましているその横顔はやっぱり綺麗で、でもどこか照れたように唇を尖らせて見える様がかわいい、というのは俺の欲目なのかな。突如、ガタタン、と強く電車が揺れてスコールを後ろから覆い被さる形になる。
「悪い、大丈夫か?」
平然としながらスコールに尋ねれば、スコールは僅かに身を強張らせた。嗚呼、ナルホド。そういやこいつ、耳弱いんだよな。それでいてぎゅ、とこれを機に背後からくっついてやると、更に息を飲むのを感じた。かわいいなぁ。うん、こういう所がスコールはかわいいんだよな。緊張するスコールを余所に、密着したままスコールの匂いと温もりを感じる。それに癒される自分は結構変態なんだなと思わなくもないが、でも好きなんだから変態でもいいやと、そう思った。





密着状態




2010/08/15


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