※現パロ


風呂を上がって冷蔵庫の中に入っていたミネラルウォーターを取り出し、ぐび、と飲んでいると、ふとスコールの部屋の明かりがもれているのが見えた。
気配を消してそっと部屋のドアを開けてみる。PCの画面はそのままついていて、机の上に突っ伏しているスコールの背中を見て思わず苦笑。
きっと遅くまで、レポートを連日連夜やっていたのが祟ったのだろう。ペットボトルを適当にその辺にいったん置くと、スコールの寝顔を覗きこむ。
切れ長の眸は閉じられていた。試しに頬をつんつんぷにぷにしても、何のリアクションも返ってこない。のを良いことに、長い前髪を掻き揚げて、額の傷をまじまじと見つめた。
昔の古傷だと云っていた。これでも、だいぶ痕が薄くなったのだとも。
完全に消えるには、まだ時間がかかるだろう。僅かに盛り上がっているそこだけが固そうな皮膚に、ティーダは目を細める。
「スコール、風邪引くっス。起きろって!」
善意から、肩を揺すってみても、そう簡単には起きない。それにまた嘆息して、立ち膝になってスコールの顔をもう一度覗きこんだ。同い年なのに大人っぽくて、クールな雰囲気は、今はカケラもない。年相応のあどけない寝顔が、やけに嬉しい。
あと5分経ったら、起こしてやろう。PC画面の明かりを頼りに、スコールの寝顔を飽きることなくじっと見つめる。
痕をそっと、なぞってみた。この傷痕のように、いつも一緒に居たいと願っているし、それくらい想っている。
けれども、くっついていたら、きっと今みたいに触れ合うことはできない。起きる前に、眠り姫は王子のキスで目を醒ましたというフレーズを元に、ほんとうにキスしてやろうか。
起き抜けにそんな冗談を云ってみても、良いかもしれない。まあきっと本人は、呆れるか、それとも怒るか、どちらかの反応だろうけれど、それを想像して、浮かんだのは笑みだった。



あどけない



2010/07/14


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