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※頭が弱い現パロ 小さい頃、俺大きくなったらスコールのお嫁さんになるっす!と豪語したティーダとは、何だかんだ腐れ縁且つ学校もクラスも同じで家がお隣り同士という所謂幼なじみという関係だった。 お互い父子家庭で母親を早くに亡くした俺たちはよく一緒に居た。むしろ二人でワンセットのような感覚だった。一緒に居ない日などなかった。姉は穏やかな笑顔で俺とティーダの遊びに付き合ってくれたりした。そして小さい頃宣言した約束を再度言い放たれた時、お互いの父親は目を丸くした後に遠い目をしていた。 今、俺たちは高校2年生だ。17歳という年齢は自分で言うのも何だが複雑な年だと思う。ティーダの小さい頃の宣言を思い返すと、何とも複雑な想いに駆られる。何より俺もティーダも男だ。結婚なぞ出来るはずがない。だがティーダはそれでも小さい頃の約束を今でも会話の中心に持ってくる。努力すれば叶う、とでも思っているのだろうか。昔から頭が弱い奴ではあったがずっとスポーツ一筋できたから脳みそまで筋肉まみれになったのではと心配になる。 試しに姉に相談してみた。 「スコール、愛は性別や年齢、果ては種族をも越えるものよ?」 相談した相手を間違った。そもそも種族って何だ。姉はいつからあんなにネジが一本飛んだような発言をするようになったのだろう。 今度は、近所に住んでいる兄貴的な存在のクラウドに相談してみた。 「別に問題ないだろう…?」 何をどうしたらそういう答えが返ってくるのだろう。 「というか、俺も男の恋人が居るが何の問題もないぞ?」 …どうして俺の周りにはこういう奴しか居ないんだ。泣きたくなったが泣いた所で現実は変わらない。そして気づけば夜になると毎夜毎夜ティーダがわざわざ窓伝いに俺の部屋へと夜襲をかける。パターンはいつもと同じだ。 「スコール、今日こそ観念するっス!」 (俺と結婚しようとする所をいい加減に観念してほしいんだがな…) ぐったりしながら押し迫るティーダの顔を突っぱねていると、何とも不細工な顔でティーダはキスを迫ってくる。何が悲しくて毎夜毎夜こんなことで睡眠時間を削られなければいけないのか。ふと、ぴたりとティーダの動きが止まった。いつもなら更に騒ぎ立てる癖に、今日はそれがない。どうしたのかと思い黙って様子を見ていると、急にボロボロと涙を零しはじめた。暗闇の中でもよく解る。毎夜のことだから夜目が慣れるのも早く、とにかく意外な展開に俺はベッドの上でたじろいだ。 「スコールは…俺のことっ、嫌い…ひぐっ、なんスか…?」 「は…?」 いや、嫌いではない。寧ろ好きだ(勿論likeの意味で)。何処をどうしたら、そんな言葉が出てくるのか。とりあえず落ち着かせようと頭を撫でてやると、上目遣いにティーダが手に擦り寄ってくる。その様子が捨てられた野良猫のようで、少しいじらしく、可愛い… (…可愛い?) いやいやいや、可愛いはないだろう。実際擦り寄ってくるティーダは可愛いが。いやそうじゃなくて。頭が混乱してくる。だがティーダはそんな俺の心境なんか知らないでずい、と身体を寄せてきた。 体温が密着した所為か、それともティーダの醸し出す雰囲気が普段と異なる所為か、鼓動が高鳴るのを感じた。 「スコール…ッ俺、スコールのこと、ずっと…」 「ティーダ…」 ティーダの唇が近づいてくる。薄桃色の形の良くて柔らかそうなそれが重なる直前、俺は枕の下に急いで手を入れとあるものを取り出すとティーダの顔面にそれをシュッ、とかけた。 「はれ…?」 いつもはもっと早い段階で催眠スプレーをだすのだが、今日は危なかった。危うく堕ちる所だった。 今でも小さな頃の約束を守り続けるティーダ。ぐーすかと寝ている身体を壁際に避け、落ちないように後ろから包むように寝る。その約束を何故そこまでして守りたいのか、こんな俺を好きだと言い張るティーダの気持ちは正直解らないし理解したくない。いい加減諦めてほしいが、残念ながらそれは世界が滅亡しない限りなさそうな気がする。嫌いじゃない。loveではないにせよティーダのことは好きだ。だが、ふと思った。 「俺はお前を嫁にするなんて約束、した覚えないぞ…?」 約束 2010/07/27 |