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「ところで貴女、」黎夜さんに氷柱を向けたまま時雨さんが私の方を振り返る。(黎夜さんは両手を挙げてジリジリ後ずさってる)黎夜さんを見るときとは違って柔らかい眼差し。普段はこんな穏やかなひとなんだろうな。
「はい何でしょうか?」
「原型と喋れるそうね」「ええそりゃもうバッチリと喋れ…」
ってちょっと待て。
「何で知ってるんですか!?」
(とりあえず)その事を堂々とカミングアウトしたことはない。隠そうと努力したこともないのだが。
「黎夜が言ってたの。」「やはりバレていたようだな」「だいたい危機感無さすぎんだよライラは」『そういえば原型と喋れるって珍しいですよね』…はい?
どうやら瑞稀は今頃気づいた模様だ。
『いえ、他人と喋れることが嬉しくてつい…気づきませんでした』「…先が思いやられる」「右に同じだ」意気投合してるよ。
頭を抱える黎夜さんと榮輝であった。
「まあ、私たちのマスターも喋れるんだけれども」「ほんとですかっ?」
思いがけない時雨さんの言葉。自分と同じ能力を持った人が、他にもいる。
「ええ。聞きたい?」「是非ともっ」
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