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「ひャははははっ…相変わらず騒がしいなお前ェ等」

「(げっ)黎夜さんっ!?まだムロにいたんですか!」

土下座を華麗に決めた直後の再会。また変なところを見られてしまった。どうしてかこのひと(ブラッキー)にはいつも奇妙な時に遭遇する。一体全体神様はどういう巡り合わせをしているのか。
反射的にカサカサカサと嫌がられるのを覚悟で榮輝の後ろに隠れる。

「まとわりつくな気持ち悪い」

と案の定というかなんというか首根っこ捕まれ砂浜にポイ捨てされてしまった。
この薄情者っ!



「ダメだよっポイ捨て禁止だぞ榮輝!」

「ほう。自分でゴミという自覚があるのか」

「いえ私はそんなことが言いたいのではなくてですねつまり…「燃やして殺るからそこ動くな」ちょ、
麗音、瑞稀、Help me!」


ガバッと振り返って麗音を見、ボールをつついて瑞稀を見る。


「いい天気だね」
『今日も快晴ですね』


「え?今私は見捨てられているのか?手持ちに?」

溢れる涙はそのままに、開き直ってくるりと黎夜さんの方を向く。

「…毎回こんなですみません黎夜さ…後ろの方は?」

「謝罪よりそっち優先か。」

「気になったもんでつい」



いまライラは気づいたのだが、黎夜の後ろに妙齢の女性がいた。
麗音よりも少し濃い―麗音の髪を空色とするならこちらは海色、の長い髪をひとくくりにしている。青いワンピースに身を包み、さながら海の貴婦人、か。

「私が時雨。種族は、ラプラス。黎夜と同じくマスターの手持ち」

あ、ども。
ペコリと頭を下げると、榮輝と麗音もそれに倣う。
海辺なので瑞稀もだしてやれば、瑞稀は尊敬の眼差しを時雨さんに送っていた。同じ水の種族としては先輩にあたるといえるのだから当然か。

「…俺の時と態度が違いすぎやしのェか?」
不満げな黎夜さん。
驚かすほうが悪いっ。反抗の意をこめてじとっと睨んでやった。
「アンタが変なちょっかい出すからでしょ自重しなさい」
凄いよ時雨さんあの黎夜さんを叱ってるよ!
「…はいはい。

ってはい!分かりましたから頼むからっ!
氷 柱 は や め ィ !!」


やはり黎夜さんを叱れるだけあって時雨さんも強いらしい。思わず息を呑む迫力があるし、手から出ている氷柱の冷たく、鋭いことといったらない。周囲の空気がパキパキと音をたて凍っていく。瑞稀は真剣な眼差しで成り行きを、というか時雨さんを見ている。何かしら学ぶものは有るのだろう。

「…返事は一回」

「…ッはい!」

「宜しい」



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