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なにがおきた?


わからない。


「榮輝、榮輝っ!」

慌て抱きかかえて脈を確かめた。

規則正しい脈に安心して、思わず涙が零れた。


「うっ……ぐすっ……」

『キミはだれー、どーしたのー?』

「!!」

不意に頭上から声が、歌声と同じ、声がした。


見上げた先に、一羽のチルットがいた。

「私はライラ。さっきから歌っていたのは君?」

『そうだよ。』

「助けてほしいの。」

そう言って榮輝に視線を向ける。

するとチルットもライラの肩に止まり、榮輝を見た。

『眠っているだけだよ。ごめんね、すぐに起こしてあげるから。』

「何で謝るの?」

『いやぁ、スバメの雛に子守唄を歌っていたんだけど…鳥ポケモンには聞いちゃうみたいだね。』

チルットは榮輝の耳元で小さく、綺麗な歌を歌った。


ぱちり。



『…む……?ライラ…………?』

「おはよ、榮輝。」


もう泣いてなんかいなかったけれど、目が腫れていたみたいで、目覚めて一番に見たモノはこれか、とばかりに眉間にシワを寄せられた。

立ち上がって軽くのび。
そして開口一番。


『さて、俺を眠らせ、起こし、挙げ句ライラを泣かせたのは貴様か。』


目が本気でした。


おたおたするチルット。
今更ながら助けたことを後悔。


『………へ?あ、いやそれはちょっと……その……まぁ、右翼骨折でして。』


「…紆余曲折?
なんか色々イタイよ。

『そうそうそれそれ。』

『こんな脳ミソが残念な奴にやられてしまうこともあるのか……。』

盛大に顔をしかめる榮輝。

『残念言うな!!』
すかさずかみつく小鳥くん。

『フン、焼き鳥にしてやろうか?』

『望むところじゃトサカ野郎っ!』


まてーい。


「ちょっとストップ!喧嘩はなしっ!」





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