奪え印鑑!押せ印鑑!



あっという間に週末になった。毎日ヒーローになる訓練や勉強に明け暮れていると時の流れが速く感じる。そして今日私は通形先輩と一緒にサー・ナイトアイの事務所を訪れることになっているのだが目覚めたら遅刻ギリギリだった。やばい。こんな大事な日に寝坊するなんて、自分が信じられない。
慌てて支度をして部屋を飛び出した。1階には皆起きていて歯磨きしている人や食堂の椅子に座って談笑している人たちがいた。おはようって挨拶されて私はそこを駆け抜けながら挨拶を返した。
ダッシュでスニーカーを履いて校門まで全力疾走した。そこにはすでに通形先輩の姿があった。

「おはようございます!すみません遅くなってしまって」
「大丈夫!約束の時間にはまだなってないからね」

電車に揺られること1時間。サー・ナイトアイの事務所に到着した。緊張でカチコチに角ばってしまう。先輩に注意点を告げられた。

「おいおい。角ばるなよ!良くないぜ。言いそびれたけどサーはとても厳しいんだよね」
「存じております。自分にも他人にも厳しくストイックな仕事が有名なヒーロー。モニター越しでもあの鋭い眼差し。ゾワっとしましたよ」
「それもだけどね・・・サーにはメディアと違うもう一つの顔がある。君が門前払いされたくないのなら、これからサーと会って話し終わるまでに必ず一回サーを笑わせるんだ」
「へ?な・・・何ですかソレっ!?笑わせる!?」

通形先輩がビルの扉を開けて中に入っていくので後に続いて中に入る。

「サーはああ見えてというか・・・だからこそというか・・・ユーモアを最も尊重してるんだ。俺が出来るのは紹介まで。君を使うかどうかはサーが決める。俺も協力してやりたいけどここからは君一人でサーに認めてもらうしかない」
「今更ですけど・・・会ったばかりなのに先輩は何で良くしてくれるんですか?」
「別に良くしてる気もないけどね。君はめちゃくちゃな目標を持ってそれを実現しようとしてる。困ってる人がいたらお節介やいちゃうのはヒーローの基本だろ」

そう言って先輩はまたニカっと笑った。良い人ってのは彼のためにある言葉のようだ。
ドアの前で急に立ち止まった先輩の背中にぶつかった。

「さてあのドアの先だ。強くなりたいなら己で拓け!」

促されてドアを恐る恐る開けると、目の前に信じられない光景が広がっていた。手を拘束されたヒーローが猫じゃらしみたいなやつでこしょばされている。え、なにこれ。一体どんな状況!?

「サイドキックのバブルガール。ユーモアが足りなかったようだね・・・!」

待ってよ。ユーモアが足りないとこんなことになるんですか!?私は頭カチコチ人間だし、ユーモアのユの字もございませんが!?大丈夫・・・?初対面で笑わせるって難しくない?
ギロリとナイトアイが一瞥した。生の迫力にビビっている場合じゃない。笑わせないと。強くなりたいもん。自分のわがままでここまで導いてもらったんだ。ここからは私自身の手で切り拓いていかないと。ユーモアだって?やってやる。NO1ヒーローになる為に。

「み、緑谷なまえです!!」
「「「・・・・・・」」」

私はオールマイトのポーズを真似して自己紹介をした。オールマイトに憧れるあまり長年鏡の前で練習し続けたこのポーズ物真似。ユーモアのセンスなんて私からは程遠いもの。これでナイトアイの心を掴めなければインターンは絶望的。

「・・・オールマイトを馬鹿にしているのか?」

スベった。こりゃ完全にスベったね。ナイトアイは眼鏡を中指で上げながら近づいてきた。

「貴様そのポーズ何のつもりだ。私をオールマイトの“元・サイドキック“としての狼藉か・・・」
「あっいやっ、その・・・」
「オールマイトの腕の角度はもっと高い。足はもっと開いてる。それにそんなに腰を捻ってはいない。横からの角度研究が浅いな」
「!?」
「通常は114度。シルバーエイジで121度。今時ノンライセンス商品でも何時代のオールマイトか識別できるように作られる」
「ちょっ!待っ・・・!!」

良く見たらこの事務所の至る所にオールマイト関連のグッズが置いてある。あ、あの壁に貼ってあるのは10周年時の非売品タペストリーだ。私も欲しい。これを見て確信した。この人は紛れもなく重度のオールマイトファンだ。

「非常に不愉快だ。お引き取り願おう・・・」

ここで引き下がるわけにはいかない。それにこの人とオールマイトトークがしたい。コアな話しができそうだ。私のヒーローオタク魂に火がついた。

「“ビネガースーサイド事件“・・・ご存知ないですか?」
「・・・!」
「水質を変えられる個性の中学生が川で溺れそれをオールマイが救助した件の事です。溺れた中学生はパニックで川をお酢に変えてしまいオールマイトはそこに飛び込み目をやられてしまった・・救出直後のインタビューで目をすぼめながらしていた勝利のスタンディングポーズ。私はそこをチョイスしたつもりだったんです!」
「もちろん知っている。私が組む以前の事件」
「敵もいないし他の活躍に比べて地味何でファンサイトでも滅多に挙がらないんですけど、私好きでして・・・。特に中学生が感謝を述べた後のセリフなんかすごくウィットに富んでて」
「“こちらこそ君のおかげでお肌10歳若返ったよ“」
「それです!“お肌“ってのがまた!」
「貴様・・・試したのか?」
「あ、いや・・・!学校だと御本人がいることもあって骨太な話がし辛くて・・・テンションが上がってつい」
「・・・あの事件の肝は中学生の家庭環境だ」
「そうなんです!!知ると知らないじゃ言葉の重みが」

しばらくオールマイト談義に花を咲かせていたが、急にサー・ナイトアイがデスクに座って話をしようと言った。そしてここにきた経緯を説明した。私はここでヒーローインターンをしたい旨を手振り身振りと熱を添えて伝えていく。ナイトアイはそれを黙って聞いていた。

「学校のプリント「持ってきてます!!」
「・・・話を遮る喋りはしない事。そのプリントにこの印鑑を押せば契約成立となる」
「はい!!」

ナイトアイは、私を睨みつけながら印鑑を持ち上げた。だけど、プリントから約15センチずれた場所に押印されている。

「・・・・・・あの、外しましたよ?」
「押す気がないからな」
「ええ!?めちゃめちゃ押してくれそうな雰囲気だったのに!?」
「貴様がここで働くメリットは承知した。だが私が貴様を雇用するメリットは?サイドキック二名、インターン生一名で滞りないこの事務所に貴様を入れてどんな旨味があるんだ?」
「私が、社会にどう役立てるのか・・・」
「貴様が我が社にどう利益となるか言葉ではなく行動で示してみるといい。3分。3分以内に私から印鑑を奪ってみよ。私の下でヒーロー活動を行いたいのなら貴様が自分で判を押せ」
「えっ・・・ええっ!?」
「ユーモアではセンスの欠片もない貴様にチャンスをやろうというのだ。どうだ私は優しいだろう。ミリオとバブルガールは退室を」
「あっはい」
「元気がないな」
「「イエッサ!!」」

部屋に二人きりになった。ナイトアイからの条件は印鑑を奪うことのみ。部屋がどうなってもいいと言われた。それを聞いて私はナイトアイに向かって一直線に駆け出した。

「正面奪取。と思わせてからの頭上・・・からの再び突撃。全て見えている」

やっぱり。全て読まれてるよね。サー・ナイトアイの個性“予知“だもん。それでも手数で上回れば何とかなるんじゃないかな。

「一旦距離を置く。そして焦燥。私の“予知“を攻略できない事実に対して」

手数じゃダメか。予知を掻い潜るにはどうすれば良いか頭をフル回転させる。

「貴様がどんなものか幾ばくか期待していたのだがな、象徴たる力を持っていてもまるで凡庸。敵が調子づき時代に陰りが見え始めるこの時に・・・ならばやはり“ワン・フォー・オール“はミリオに継がせるべきだった」
「ワン・フォー・オール・・・!通形先輩!?」

待って。通形先輩が後継者候補だったってこと?先輩はそのこと知ってるのかな。ナイトアイとオールマイトはどういう経緯で通形先輩を?ていうかオールマイトは全部知ってるの?知ってたら何で私に黙って?

「長考する余裕があるのかね?それとも疲れたか?策がないか?ミリオに貴様を紹介すると言われた時私は驚いたよ・・・そろそろハッキリ言おうか。ワン・フォー・オールにはもっとふさわしい人物がいる。私は貴様を認められん」

オールマイトに初めてあった日。あの日に貰った言葉。

“君はヒーローになれる“

私の全てで上回るんだ。見えても反応出来ぬ程に。私とオールマイトの今までを否定されて黙ってられるか!!オールマイトが私を選んでくれたんだから。

「印鑑は押させてもらいます。絶対認めさせてみせます!」

そう言って部屋中を飛び回る。だけどどこまで先を予知できるのかわからない。それならば、今まで以上の手数とスピードで印鑑を奪うまで。ナイトアイが反応出来ないくらいに速く。

「まるで劣化グラントリノ。遅いし無意味。貴様がどこで何をしているか私には見えている。見れば見るほど、貴様でなければならない理由が見当たらない」
「なれると言ってもらいました」
「有象無象の一人にか」
「最高のヒーローにです!!!」

机を掴んでナイトアイに向かって投げた。この部屋どうしたって良いってさっき言ってたもの。ナイトアイは私がどこで何をしているかは見えるって言ってた。きっとランダムに飛散する物体の予知までは出来ないんじゃないか。これが私の立てた仮説。

「私はオールマイトの弟子なんです!!!」

印鑑を奪おうと飛びかかったけれど避けられてしまった。まだだ!壁を蹴って・・・あ、だめ。非売品タペストリーを踏みつけるなんて私には出来ない。そう思ったら顔面から壁に突っ込んでしまった。

「終わりだ。3分経過した。弟子・・・?聞いて呆れる。策が一つ通じなかっただけで何とも無様。気が抜けたか」
「気が抜けたわけじゃないです」
「ならばミスか」
「・・・オールマイト10周年記念の非売品タペストリー。踏むところでした」
「・・・部屋中のオールマイト、全て避けながらグラントリノのように跳ねていたのか」

部屋の扉が勢いよく開いて通形先輩が入ってきた。

「失礼しまァす!!終わりました?物凄い音立ててましたけど」
「採用だミリオ」
「わぁ!すごい!!!やったあ緑谷さん!!!」

達成できてないのに採用された。何で?

「印鑑を奪り、自分で押印すればと言ったが出来なければ不採用だとは言ってない」
「ええええ、嘘でしょ」
「緑谷さんやったね!!」

そもそも私が来た段階で採用は決定したという。私が使えるかどうかテストしていたのだ。だけど認められたわけじゃない。ワン・フォー・オールは持ち主の意思によって譲渡される。これは私にオールマイトの後継者を諦めさせるための採用なのだ。
オールマイトに認められた私と、それを認めないナイトアイ。そしてナイトアイが選んだ通形先輩。奇妙な四角関係になってる。だけど、明日からインターンは本格的に始まるんだ。認めてもらえるように頑張るしかない。

翌日から始まった本格的なインターン活動。まずはパトロール兼監視。監視とは死穢八斎會という小さな指定的団体の動きを監視することらしい。ナイトアイ事務所は、ペストマスクをした治崎という男の動きを追っているらしい。
治崎はヤクザ者を集めているし、敵連合とも最近になって接触しているという。
先輩に着いていき、街をパトロールする。歩きながら色々教えてくれた。

「そういや、ヒーロー名聞いてなかったねお互い」
「ヒーロー名です」
「俺はルミリオン!!オールとまではいかないけど、ミリオンを救う人間になれるように命名した!レミオロメンみたいでかっこいいだろ!」
「・・・レミオロメン」
「コスチュームを纏って街に出れば俺たちはヒーローだ。油断はするなよヒーロー名」
「はい!ルミリオン!」

しばらく歩いていると街角から小さな女の子が飛び出してきて私にぶつかって尻餅をついた。声をかけて起き上がらせようとすると女の子が走ってきた方向から、ペストマスクの男が現れた。ナイトアイが監視していると言って写真を見せてくれた死穢八斎會の治崎が目の前にいた。女の子が怯えた表情になったのを私は見逃さなかった。目の前に監視対象が現れた驚きで、私の顔はぽかんとしていたに違いない。

「うちの娘がすみませんねヒーロー・・・遊び盛りでケガが多いんですよ。困ったものです」
「まーたフードとマスク外れちゃってるぜ。サイズ調整ミスってんじゃないのか!?」

通形先輩は、そう言ってコスチュームのフードを被せてきた。

「こっちこそすみません!」

私の顔に、嘘だろって書いてあったんだ。いけない、お互い何も知らない状況なんだから平穏な顔してなくちゃ。怪しまれないようにしないと。

「お二人とも初めて見るヒーローだ。新人ですか?随分お若い」

治崎は和かに話しているが、目が笑っていない。先輩が上手く話を切り抜けてくれたけど、女の子が気になる。あんな包帯巻くほどのケガ、遊び盛りだからって一言で片付けちゃいけない気がする。仕方なく離れようとしたら女の子が震えながら小さな声で私に助けを求めた。

「あの・・・娘さん怯えてますけど」
「叱りつけた後なので」
「いや、でもこのケガ。遊び盛りって感じの包帯じゃないですよね」
「よく転ぶんですよ」
「こんな小さい子が声も出さず震えて怯えるって普通じゃないと思うんですけど」
「人の家庭に自分の普通を押し付けないでくださいよ」

先輩がやめろってアイコンタクトして、治崎の味方をするような相槌を打った。だけど、その方が不自然だと思う。だってヒーローが怯えた子どもをやり過ごすわけがない。この子の小さな手は私を掴んで離そうとしない。

「この子に何してるんですか?」
「・・・ふぅ全くヒーローは人の機微に敏感ですね。わかりました。恥ずかしい話です。人目につくしこちらに来てもらえますか?」

そう言って治崎は路地裏へと進んでいく。

「実は最近エリについて悩んでいまして。何を言っても反抗ばかりで」
「子育てですか、大変ですね」
「ええ。難解ですよ子どもは。自分が何者かになる・なれると本気で思ってる」

手袋を外そうとした治崎は明らかな殺意をこちらに見せた。その様子を見て私の腕を振り解いてエリちゃんが走って治崎の元へ戻っていった。

「え・・・!?あのエリちゃん?」
「いつもこうなんです。すみません悩みまで聞いてもらって。ご迷惑おかけしました。ではお仕事頑張って」
「待って・・・!何で!!」

追いかけようとしたら通形先輩に止められた。殺意でエリちゃんを呼び戻していたと言われても納得できない。静止を振り切って追いかけようとしたら先輩に肩に担がれて大通りに逆戻りした。先輩は私を担いだまま、ナイトアイと合流するために電話をかけて合流ポイントまで走った。私ももう追いかけるのは無理なので諦めて大人しくしたが先輩はそれでも降ろしてくれなかった。ナイトアイとバブルガールがやってきたのを見てようやく降ろしてくれた。
心配な私の心を映すかのように空模様も曇ってきた。きっともうすぐ雨が降る。そんな匂いがする。

「どうにか保護してあげられていたら・・・」
「傲慢な考えをするんじゃあない」
「・・・そんなっ」
「事を急いては仕損じる。焦って追えばますます逃げられる。救けたい時に救けられる程貴様は特別じゃあない。まず相手が何をしたいか予測し、分析を重ねた上で万全の準備を整えなければならない。志だけで救けられる程世の中甘くない」

ぽつりぽつりと降り出した雨はやがてその勢いを増して、私の頬を打った。雨に紛れて私の涙はきっとバレない。そう思っていたけど、通形先輩が私のコスチュームのフードをまた被せた。

「ヒーローが泣いちゃダメだ」
「はい・・・」
「次は絶対助けるぞ」
「はい・・・」

こうして大きなシコリを残して私のインターン初日はあっという間に終わってしまった。

帰り道ぼんやりしてたら、コスチュームバックを足に落としたし、切符を買うときは料金を間違えたし、先輩の話の相槌を適当にしてたらバレて肘打ちされたし、電車にカバン忘れかけたし、何もないところで躓いて転びそうになった。散々な帰り道、呆れた先輩が私の手を引いて歩いた。オールマイトはお父さんみたいだし、先輩はなんかお兄ちゃんみたいだ。
私に兄弟は居ないけど、居るとしたらこんな感じなのかな?
1年A組の寮の前で先輩はようやく手を離してくれた。先輩は私の肩をバシンと叩いて大きな声で言った。

「ボンヤリするなよ、ヒーロー名。俺たちゃまだ"仮"ではあるが、一般の人からすればそんなの分からない。"一人前のヒーロー"なんだぜ!!来週末もそんなんじゃサーに愛想尽かされちゃうぞ。じゃあまた!!」

先輩の優しさに甘えて、めちゃくちゃ迷惑かけてしまった。反省しなければ。
私が入るまで行こうとする気配がないので先輩にお辞儀をして寮に入ると、怪我だらけのかっちゃんが居てびっくりして駆け寄った。

「ど、ど、どうしたのその怪我っ!?」
「うるせぇよ、出会い頭にギャンギャン叫ぶな。頭痛くなるわクソが」
「緑谷、爆豪は今非常に機嫌が悪い」
「何で??」
「お前が帰ってくるのずっと待ってたんだ爆豪は」
「そ、そうなの?」
「ちっげぇわ!!」

首を傾げながらその場を後にした。部屋で制服を脱ぎかけてたらかっちゃんがやって来た。ドアを開けた途端にかっちゃんに身体持ち上げられてベッドに降ろされた。息ができないくらいにギュッと身体を締め付けられてかっちゃんの背中を叩いて苦しいアピールをしたけど全然離してくれない。かっちゃんの好きにさせておこう。そう思って力を抜いたらかっちゃんが首に噛み付いてきた。

「痛っ!!!ちょっ、なんで噛むの。かっちゃん吸血鬼じゃないって言ってたじゃん」
「・・・」
「えええ、無視!!!???かっちゃーん、おーい」

噛まれたところを舌でなぞるように舐められて鳥肌が立った。

「ひ、ひゃっ!うぁっ!」

知らぬ間にシャツのボタンが開けられてキャミソールが露わになっていた。全然気が付かなかった。かっちゃんの舌がだんだんと鎖骨やその下へと移動していく。力が抜けて身体が熱くなってきた。ヘンな声でそうだから必死で下唇を噛んでたらかっちゃんが怒った顔で「噛むな」って言った。かっちゃんは私を噛むくせに理不尽だ。それに恥ずかしくて仕方がない。

「かっちゃん、私シャワー浴びてないから舐めたら汚ないよ」
「知るかそんなもん」
「ええ!?」

しばらくかっちゃんの好きにされていたけど、恥ずかしさと今日のインターンの出来事で頭がいっぱいになった私の限界がきて涙になって溢れ出てきた。

「か、かっちゃ、ん、ひっぐ、ううっ」
「!!」
「かっちゃん、私、私ね、何もできなかったの。救けを求めてたのに。救けられなかった・・・ひっ、ぐすっ」
「・・・」

泣き出した私にびっくりしたのかかっちゃんは私の上から退いて、隣に横になって私を腕の中に入れて背中をさすってくれた。しばらくして、かっちゃんが優しく「泣くなよバカ」って言うもんだから小さい頃のやり取りを思い出してますます泣いてしまった。泣き止むまでずっとそばにいてくれた。



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