隠し事
遂に高校へ入学する日がやってきた。待ちに待った雄英高校での新生活。まさかそこになまえがいるとは思わなかったけど。今となっては自分の目の届く範囲になまえがいるのも悪くねぇって思えてきた。違う学校に通ってたら中学の時みたいに無個性のなまえを犯そうなんてやつがいても守ってやれない。
学校に早めに着いた俺はA組とかかれたドアを開けた。既に何人か居たが俺は適当な席に腰掛けて脚を机に乗せていた。俺は別に馴れ合いなんてしない。
入試の時のクソ真面目メガネが居た。どんな個性持ってるか分かんねぇけど、誰にも負ける気がしねぇ。クソ真面目メガネに机に脚を乗せるなとか、先輩方や机の製作者に申し訳ないと思わないのかと喚かれてキレた。んなもん思うわけ無いだろ。
そいつと言い合いになってるときに、なまえが教室のドアを開けて入ってきた。遅刻ギリギリだ。やっぱのんびりした奴だ。それにネクタイもまともに締められないのかよ。どんな結び方したらそうなんだよ。でも、まあ、割と雄英の制服似合ってるな。いや、待て、スカートが短すぎんだろ!!なにそんな脚みせてんだよ。バカか!五十音順で席は決まってるからなまえは俺の後ろの席だった。受験番号だけじゃなくて、出席番号も連番かよ。
担任の先生は、本当にプロのヒーローなのか?ってくらいに地味な奴だ。そもそもこんな奴見たことねぇ。ただそいつが個性把握テストなるものをしたときに俺たちのことを見てる目は本物だった。しかも最下位は除籍処分にするという横暴っぷりだ。
個性を使ってのテストで得意分野でそれぞれ記録を作り上げてる中、なまえは平々凡々な記録だけ。これなら最下位で除籍処分かな。
そうなったら雄英の普通科墜ちでもすんのか?
周りのやつもそう思ってるらしい。
「緑谷くんはこのままだとマズイぞ」
「ったりめーだ。無個性のザコだぞ!」
「無個性!?彼女が入試時に何を成したか知らんのか!?」
「は?」
何言ってんだよこいつ。入試んときこいつボロボロ泣きながら帰ってたんだぞ。何も成せるわけねぇだろ。
それから無個性のなまえはボール投げに挑んだ。無個性なはずなのに、指を負傷しながら俺のボール投げの記録を越えやがった。個性あったのかよ。個性があるのずっと黙ってたのかよ。腹の底で周りの奴らバカにしてたのか?俺のことも?なんで教えてくれなかったんだよ。
隠し事されてたことにショックと苛立ちを覚える。
気がついたらなまえの元へ走っていたが、先生の捕縛武器で捕らえられて動けずにいた。
結果なまえが総合的には最下位だったが、除籍処分は合理的虚偽とやらで普通にヒーロー科で授業を受けられるらしい。なんだそれ。
最寄駅から家に向かう道中、後ろを隠れながら着いてくるなまえにすぐ気がついた。コソコソと電柱の影に隠れながら歩くなまえに呆れる。それで隠れてるつもりかよ。
「おいてめェ!バレバレなんだよ!」
近づいていって、首根っこを掴んで引きずって家に連れ込んだ。ババアも丁度居ないし好都合だ。無理矢理連れ込んでるのに、律儀に「お邪魔します」って言ってるこいつが可愛くてムカついた。いや、それよかなまえの個性のことだ。それを俺はなまえの口から聞きたい。2階へなまえを追い込んで、俺の部屋に乱暴に押し込んだ。
「か、かっちゃん?」
「てめェ、ずっと"個性"あるの黙ってたのかよ・・・?俺を騙してたんか!?」
「ち、ちがっ」
ゆっくり近づけば後退る。後ろにはベッドしかなくて逃げ場を失ったなまえはベッドにぽすんと座った。なまえの肩を掴んで押し倒す。
「許さねェ。なまえのくせに」
なまえの身体がベッドに沈み込む。なまえの手を掴んだら腕の細さに驚く。こんな細腕で俺の記録を抜いたのが信じられない。なまえの両手なんて片手で掴めるわ。俺がなまえなんかに負けるわけ無い。なまえの脚の間に身体を入れて覆い被さる。
「う、痛いっ!」
「あたりめェだ、痛くしてんだよ馬鹿!」
上からマジマジとなまえを見る。歪な形のネクタイが目に入る。制服のブレザーのボタン外してヘッタクソな結び目のネクタイも外した。なんだよ、どうすりゃこんな結び目ができんだよ。
「ネクタイもまともに結べないような奴が"個性"だと!?はっ、笑わせるぜ」
顔を背けるなまえは震えてるし、目には涙が浮かんでる。
「かっちゃん、やめて。怖いよぉ」
声が震えてる。やりすぎたか。よく考えたらこの状況エロすぎねぇか?俺がしたことだけど、なまえの頬は赤らんで震えて制服は乱れてる。俺の体が足の間にあるせいで短いスカートが捲れ上がってる。
やばい・・・キスしてぇ
さっきまで個性を秘密にされてたことに腹が立ったはずなのに、今は違う欲が俺の中に立ち上がってきてる。俺も健全な男子高校生だからな。欲求のままキスしてやろうかと思ったけど、怖がってるなまえをみたらそんな気は無くなった。
顔を近づけて額に軽く頭突きをして離れた。このままベッドに押し倒してたら、理性がもたん。
なまえから離れてベッドに腰掛けたら、顔を覗き込んできやがった。離れたのに近づいてくんなボケ。
「あ、あの私帰るね?」
「・・・」
「また明日学校で」
「おい、明日の朝7時半にここに来い」
「へ?な、なんで!?」
「うるせェなんでもいいから7時半に来い」
何が何だか分からないくせに、頷いてやがる。
なまえはそっと部屋を出て行った。今追いかけたらマジでキスしそうだし、なんならその先まで一気に進んでしまいそうで、なまえを追いかけられなかった。
律儀に「お邪魔しました」って言う声が聞こえて、俺はベッドに倒れ込んだ。
組み敷かれてたなまえの姿を思い出して身体が熱くなった。
何が守るだ。俺が襲いかけてちゃダメだろうが。