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スマホのアラームが鳴って朝の起床の時間を知らせる。まだ眠たく重たい瞼を擦りながら起き上がる。今から朝の自主トレをするのだが、眠気のせいでベッドから出るのが少し億劫になる。ふと、スマホをみるとかっちゃんからのメッセージが届いていることに気がついて一気に目が覚めた。

『コスチューム取りに行くから起きたら電話しろ』

慌てて洗面所で冷たい水を出して顔を洗った。その冷たさで完全に目は覚めた。身支度はあと髪にかっちゃんにもらったリボンをつければ完成だ。夏用の制服は半袖のカッターシャツにネクタイをするのだが、寮に入る前も毎日かっちゃんに結んでもらってたせいで未だにネクタイは上達しない。寮に入ってからは麗日さんや八百万さんがネクタイを締めてくれるようになったのでこれまた上達する気配は一向になかった。もはや、もう自分でしなくても誰かがしてくれるので覚えなくてもいいやと諦めている。
とりあえず今は"なまえ流ノット"でいこう。
ベットメイキングもしたし、部屋も片付いてる。よし、かっちゃんに電話しよう。
かっちゃんは電話に出るなり一言「すぐ行く」とだけ言って切った。私一言も発してないのに・・・

5分もしないうちに部屋のドアがノックされた。鍵を開けると制服を着たかっちゃんが入ってきた。

「かっちゃんおかえり!・・・じゃないや。お、おはよう」
「・・・おう」
「かっちゃん座ってー。なんか飲む?」

かっちゃんはラグの上に座ってあぐらをかいた。 

「いや、いらねェ」

洗濯物の入った紙袋を差し出すと受け取った。そして私のことを手招きするとネクタイを解かれた。そのまま私はかっちゃんの足の間に座って大人しくネクタイを締めてもらった。かっちゃんに背中を預けるように座ったら重たいって怒られた。 

「いつになったらネクタイ締めれるよーになんだよてめェは」
「できなきゃダメだよね、やっぱ。高校生の間はネクタイ締めるもんね・・・寮に入ってからは、麗日さんとか八百万さんがしてくれるようになったの。だから、覚えなくてもいいかなーって」
「は?俺がやってやるわ!!他のやつんとこ行くなよボケが」
「え、ええええ!?してくれるんだ!?」
「チッ!!」

軽くネクタイ締めるんじゃなくて、首絞められかけた。死ぬ。ネクタイ締め終わっても、かっちゃんにもたれて座ってたらお腹に手が回ってきた。

「なまえ・・・」
「なに?」
「・・・」

かっちゃんは何も言わずに急に締めたはずのネクタイを外した。そしてボタンを3個くらい外された。身体の向きを変えられて向かい合わせになる。かっちゃんカッターシャツの胸元を少し開いて唇を寄せた。あ、血が欲しくなったのかな・・・
ラグの上にゆっくり寝かされて覆い被さってくるかっちゃんの背中に手を回したら、舌打ちされた。首を何度も吸われたり、唇でやわやわと噛まれたりしているうちに身体が熱くなってきた。お腹の奥がキュッとなる感じがして、ヘンな声を出してしまった。

「あ、ぁっ!」
「・・・」

かっちゃんは驚いたようで固まっている。

「ご、ごめ・・・ん、なんかヘンな声出ちゃった」
「出してもいい」

出してもいいんだ。なんか恥ずかしいんだけど。かっちゃんがまた首元に顔をうずめたとき、スマホのアラームが鳴った。あ、そろそろ朝ごはん食べに行く時間だ。かっちゃんは最後に首というよりは胸元に近い場所を強く吸って離れた。
なんだか全身の力が抜けてしまっている。ゆっくりと起き上がって鏡をみたら、最後にかっちゃんの唇が触れたところが赤くなってる。虫に刺されたみたい。
ボタンをしめて、またネクタイを締め直してもらった。

かっちゃんと一緒に部屋を出てエレベーターに乗ろうとしたら、麗日さんと葉隠さんがいて同乗した。

「おはよー!麗日さん葉隠さん」
「おはよ!なまえちゃん、爆豪くん。ところでなまえちゃん・・・爆豪くんと一緒だったの?」
「あ、うん!昨日かっちゃんのコスチュームうっかり濡らしちゃって、私が洗濯したの。それ取りにさっき来てくれたの」
「そ、そうなんだ・・・お泊りでもしてたのかと思ったよ」
「ま、まさか!」

私がそう言って笑ったら、かっちゃんは舌打ちした。微妙な空気の中すぐに1階に着いたのでかっちゃんと私から先にエレベーターから出た。かっちゃんは真っ直ぐに食堂に向かって行ったのだが、私は葉隠さんと麗日さんが私の腕を掴んでリビングへと引きずられた。

「ど、どうしたの!?」
「コスチューム濡らすってどんな状況なの!?」
「・・・・・・」

シャワールームでの状況を思い出して真っ赤になって黙っている私を見て二人はキャーキャー叫んでいる。後から来た芦戸さんや梅雨ちゃんは何事かと驚いている。恥ずかしいからあの状況を思い出させないでほしい。

「なまえちゃん、大人の階段登ったら教えてよ!?」
「大人の階段?なにそれ」
「・・・・・・頑張れ爆豪くん」

何それ。ここに居ないかっちゃんへエールを送っている。なんのことか分からないまま朝ごはんのパンを頬張った。

そんなこんなで、体育館γでのトレーニングは四日目を迎えた。
シュートスタイルの練習していると、峰田くんが話しかけてきた。

「緑谷!コスチューム変えたのか!」
「うん!腕の負担を減らしてくれるサポーターだよ」
「どうせなら全とっかえでイメチェンすればいいのに!もっとこうエロを全面に押し出す感じで」
「峰田くん・・・キモいよ」
「ぇぇぇぇえええ!?緑谷はそんなこという子じゃなかっただろ?」
「言うよ?」
「緑谷ァァァ!」
「コスチュームのベースはなるべく崩さないようにしたいの」

峰田くんは若干泣きそうになりながら去っていった。すぐ自分の欲望に結びつけるから悪いのよ、峰田くん。

「あ、オイ上!!」

かっちゃんの新技で岩に穴を開けたのだが、その岩が崩れて授業を見に来ていたオールマイトの頭上に落ちていく。
かっちゃんの声に気がついて、私は地面を蹴って飛び出した。岩をフルカウルシュートスタイルで蹴って粉々にしてオールマイトを守った。
そう、オールマイトの必殺技は基本的に拳。ワン・フォー・オールを授かった私もそうあるべきだって無意識に決めつけてた。だけど私は私に合ったやり方でいいんだ。

「大丈夫でしたか!?オールマイト!」
「ああ!」

オールマイトは少し嬉しそうな表情だ。

「何緑谷!?サラッとすげえ破壊力出したな!」
「おめーパンチャーだと思ってた」
「上鳴くん、切島くん。破壊力は発目さん考案のこのソールのおかげだよ。あと飯田くんにも身体の使い方教わってスタイルを変えたの。方向性が定まっただけで、まだ付け焼き刃だし必殺技と呼べるものでもないんだけど」
「いいや!多分付け焼き刃以上の効果があるよ。こと仮免試験ではね」

どういう意味だろう。オールマイトは相澤先生に危ないから近づかないように注意されている。

「それより、皆もコスチューム改良したんだね!」
「あ!?気づいちゃった!?お気付き!?」
「ニュースタイルは何もおめーだけじゃねぇぜ!」

たしかに周りを見れば口田くんや耳郎さんも装備が変わっている。

「カッコ良くなったね!」
「緑谷それ、爆豪に言ってやって」
「かっちゃんに?なんで?」
「後で大変なことになるから」
「・・・??」

突然B組が体育館に入ってきて、みんなの訓練の手が止まる。物間くんが「A組全員落ちて」ってストレートに感情ぶつけてくる。

「物間くんのコスチューム、なんか結婚式みたいだね」
「緑谷何言ってんだ。これはどこからどう見ても」
「タキシードでしょ?結婚式じゃん!結婚式ヒーローだ!」
「ちがう!!!!」

物間くんは若干怒ってた。それから散々A組を挑発してきていたのだが、A組とB組は別会場で仮免試験を受けると聞いてあからさまにホッとしている。そんな物間くんをみて苦笑いする。
だけど、他校と合格を奪い合う仮免試験。私たちは通常の習得過程を前倒ししてる。大丈夫だろうか。

「1年の時点で仮免を取るのは全国でも少数派だ。つまり君たちより訓練期間の長い者。道の"個性"を持ち洗練してきた者が集うわけだ。試験内容は不明だが明確な逆境であることは間違いない。意識しすぎるのも良くないが忘れないようにな」

相澤先生の言葉で仮免試験にさらに不安を覚えた。午後からは体育館γはB組が使うことになっているため使えない。そのため各自でトレーニングすることになっている。
シュートスタイルを確実にするためにももっと訓練が必要だ。相澤先生に頼んで、私は運動場を借りて自主トレを行った。あっという間に日も暮れてあたりは暗くなってきた。
必殺技のこと、仮免試験のことに集中しないといけないのに、かっちゃんのことで頭がいっぱいになってしまう。
かっちゃんがもう一つの個性で苦しんでるならなんとか助けてあげたい。だけど、毎日かっちゃんの部屋に通うのは難しいかもしれない。なんせ、今は仮免取得にむけて、朝も夜も自主トレしないといけない。それに、かっちゃんにアレをされると、身体が熱くなってお腹の奥がキュッとなるのに、全身の力は抜けてしまうのだ。それに何より頭の中がかっちゃんでいっぱいになる。その後のトレーニングに支障をきたす。困った。なにかいい方法はないかな。

寮に戻り、お風呂に入り汗を流した。用意されている食事をとる。家が近いってある意味楽ではあるな。みんなは部屋着でソファに座りジュースを飲みながらくつろいでいた。

「フヘエエエ毎日大変だァ!」
「圧縮訓練の名は伊達じゃないね」
「あと一週間もないですわ」
「なまえちゃんはどう?」

かっちゃんのことを考えて、どうにか打開策がないかをスマホで検索していたので葉隠さんが質問してくれていたことに気がつかなくて、隣に座る麗日さんに腕をつんつんと突かれた。

「わっ!何!?」
「疲れてるなぁ、大丈夫?なまえちゃん」
「あ、うん!全然疲れてないよ!大丈夫。ちょっと気になる事があって調べ物してた」
「何調べてるの?」

かっちゃんのもう一つの個性のこと言うわけにはいかない。

「血が足りないなって思ったとき何したらいいのかなーって調べようかと」
「それでしたら、ほうれん草やレバー、乾燥ひじきなどを食べるのはどうでしょう?」
「なるほど」
「後はサプリメントなどの栄養補助食品で鉄分を補う・・・とかですわね」
「ありがとう!サプリメントなら手軽でいいかも。ネットで注文してみるよ!ありがとう八百万さん」
「お役に立てて光栄ですわ」

早速ネットで鉄分のサプリメントを注文した。明日には学校に届くらしい。いやぁ便利な時代に生まれて良かったよ。

相澤先生経由で届いた箱を受け取った。そしてかっちゃんにすぐ届けた。毎日来れないかもしれないと伝えたのだが、「別に良い」という割にかっちゃんの顔は険しい。気休めにしかならないかもしれないけどと鉄分のサプリメントを渡したら大爆発した。

「なまえ!!いい加減にしろや!!俺の個性は爆破だけに決まってるだろうが!!」
「そ、そうなの!?じゃ、あれは・・・」
「てめェの勘違いだよバカ」
「ぇぇぇえええ」

爆発のせいで切島くんがドアをノックして入ってきた。大量のサプリメントの詰まった段ボールを抱えた私をみて何事かと聞いてくるも、かっちゃんの沽券にかかわるので口をつぐんだままやり過ごした。
かっちゃんの部屋を後にし段ボールを抱えてトボトボと自分の部屋へと戻った。このサプリメントは女子全員に配ろう。

ていうか、あの行為は一体なんだったの。
どんな意味があるの?
教えてよかっちゃん・・・


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