自然体のきみと3

「え、なんで!?」


お店から出ると目の前の柵にナオが座って煙草を吸っていた。私を見るなり煙草をしまって近寄ってくる。屈託ない笑顔で。八重歯を見せて。でも私の後ろ、登坂さんの姿にギョッとコントみたいに固まった。


「へぇ、お前がストーカー?」

「はっ!?」

「だってすげぇLINEと着信。」

「あーいや、その。」

「安心しろよ。俺フラれたから。ちゃんと言葉にしろよ、逃げらんないように。」

「分かってますよ。」


若干の苦笑いでナオがふぅーって息を吐き出すと振り返って私に手を伸ばした。え、なに?眉毛を下げてナオを見つめ返す私の手を無理やり握るとそのまま歩き出した。


「ナオ?ねぇ、どーしてお店分かったの?」

「すげぇ探したから。それより、マジでフッたの?あの人のこと…。」

「え、ああ。冗談でからかわれただけだよ。本気なわけないじゃん。」

「そう、それならいいけど。あーのーさ、」

「え、」


ふわりとナオに抱きしめられる。は、なに突然?ナオにこうして抱きしめられたことなんてなかったけど、こうなるのが自然なのかもしれない、なんて安心感がそこにある。そっとナオの背中に腕を回すと、また強く抱きしめられた。


「結婚しよ、なまえ。」

「…はいっ!?ナオ?」

「だって俺らそーいう運命、違う?」

「…運命?」

「俺どんな人と出逢っても、なまえ以上の女なんていないのよ。それにもうこうやってモヤモヤもしたくねぇし。」

「ナオって結構独占欲強いよね?」

「お前にだけな。」

「ふふふ、いいよ、結婚してあげる。」


運命って言葉がすんなりと胸に落ちる相手なんてナオ以外いない。私の言葉に、ふはって嬉しそうに笑うナオ。ほんの少し距離をとってナオを見上げると、ちょっとだけナオの目が泳いでる。


「今考えてることがなんとなく分かるんだけど、」

「そりゃ手っ取り早ええ。」


頬に手を添えるナオにクスって笑って目を閉じた。今更ながら、私達の初キスに唇を離して二人で爆笑。


「もっとして、ちゃんと。」

「んー。ねぇ、ホテル行っちゃう?」


ちゅっちゅっ、キスをしながらナオが耳元でそんな囁き。もー完全にエロ目になってる。でもそれが私の知ってるナオで、憎めないナオ。


「ねーオブラートに包むとかないの?」

「いや無駄じゃねぇ?俺だよ?」

「まぁそうだけど。」

「んじゃそこに見えてるの、いっちゃお。」


お城みたいな建物を指さしてそう言うと、肩を抱かれてナオに誘導される。こんな急展開でもナオとなら未来を想像できるなんて。惚れた弱みかな?


「ナオ、大好き!」

「ふは、俺のが好き!」


ギュッとナオの腕に絡みつくと煌びやかなそこに入っていった。



Thanks LOVE Maako ★

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