放課後になっても英和辞典は戻ってこなくて。宿題するのに使いたいんだよなーってサッカー部を覗くもどうしてか臣くんはいなくて。
「片寄くん、臣くん知らない?」
後輩の片寄くんに尋ねると、バツの悪そうな顔で「あー裏庭かも。」なんて言うから、呼び出されたんだって分かった。次は何年何組の誰?なんて私の意識は超裏庭にいってて。臣くんが戻ってくるまでものの数分だったけど、何時間にも思えたなんて。私を見てキョトンとした後、ニカッて笑う臣くん。
「え、俺待ち?」
ちょっと嬉しそうにハニカムのずるい。私に会えてそんな顔、ずるい。
「英和辞典、返してよ。」
まともに顔が見れないのは、告白の行方が気になってしまってるからなんだと思う。断った?それとも…―――――「断ったよ。」背を向けている私の後ろからトンって臣くんの腕が回される。肩に触れているのはたぶん臣くんの顎で。すっぽりとその腕に包み込まれている私。待って、この状況なにっ!
「お、おみく…」
「安心して、俺が好きなのなまえだから。冗談にすんなよ?これでもドキついてる。」
「…ほんと?」
「うん。なまえは?」
耳元で話されて、吐息が軽くかかっていて、ドキドキしないわけがない。喋る度に臣くんがキュッて私を強く抱く力が込められて…。
「好き。私も。」
「俺も、好き。練習終わんの待ってて。一緒に帰ろ?」
「うん。」
「じゃあ行ってくる。」
そっと私を離す臣くんの耳は赤くて。後ろ姿のまま私に手を振った。ドキドキしながら手を振り返すと、臣くんが走ってグラウンドに戻ったんだ。
私達、幼馴染卒業しました。
Thanks LOVE Ririan ★
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