幼馴染卒業2

放課後になっても英和辞典は戻ってこなくて。宿題するのに使いたいんだよなーってサッカー部を覗くもどうしてか臣くんはいなくて。


「片寄くん、臣くん知らない?」


後輩の片寄くんに尋ねると、バツの悪そうな顔で「あー裏庭かも。」なんて言うから、呼び出されたんだって分かった。次は何年何組の誰?なんて私の意識は超裏庭にいってて。臣くんが戻ってくるまでものの数分だったけど、何時間にも思えたなんて。私を見てキョトンとした後、ニカッて笑う臣くん。


「え、俺待ち?」


ちょっと嬉しそうにハニカムのずるい。私に会えてそんな顔、ずるい。


「英和辞典、返してよ。」


まともに顔が見れないのは、告白の行方が気になってしまってるからなんだと思う。断った?それとも…―――――「断ったよ。」背を向けている私の後ろからトンって臣くんの腕が回される。肩に触れているのはたぶん臣くんの顎で。すっぽりとその腕に包み込まれている私。待って、この状況なにっ!


「お、おみく…」

「安心して、俺が好きなのなまえだから。冗談にすんなよ?これでもドキついてる。」

「…ほんと?」

「うん。なまえは?」


耳元で話されて、吐息が軽くかかっていて、ドキドキしないわけがない。喋る度に臣くんがキュッて私を強く抱く力が込められて…。


「好き。私も。」

「俺も、好き。練習終わんの待ってて。一緒に帰ろ?」

「うん。」

「じゃあ行ってくる。」


そっと私を離す臣くんの耳は赤くて。後ろ姿のまま私に手を振った。ドキドキしながら手を振り返すと、臣くんが走ってグラウンドに戻ったんだ。

私達、幼馴染卒業しました。


Thanks LOVE Ririan ★

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