「おはようございまーす。」
「おはよ、なまえ。」
ニッコリ微笑む臣に私も思わず頬が緩む。昨日臣と帰りが一緒になってその流れで2人でご飯を食べに行った。帰り際何かを言おうとした臣だけど、電車がきちゃってそれに飛び乗った私。まさかとは思うけど告白、なんかじゃないよねー。密かに憧れている臣だけど、年上の私から好きなんて言える訳もなく、でもどちらかと言うと好かれているってことぐらいは分かってる。自惚れじゃなくて。なんとなく哲也を気にしていることも。
「昨日はご馳走様。」
「また行こうよ!また、2人で。」
「うん。今度は私が奢るから!」
「え、いいよ。そこはやっぱ男の俺にかっこつけさせて。でも俺、次はなまえの手料理が食いたいかも。」
「へ?手料理?」
「うん。ダメ、かな?」
「ううううん。そんな安上がりでよければいつでも。」
「まじで!?嬉しい。じゃあさ、今夜、は?」
「え、今夜?」
「そう、今夜。」
昨日の今日で臣が何考えてるのか…
「はいはい、告白は今夜、にしてね?今から仕込みするから手伝えよ広臣!」
同期の、っていうか飲食店を経営している兄貴の店の店長を任されている直人が、入口の所で向かい合っていた臣と私の間をわざわざ通ってそう言うんだ。その口元は笑っていて。
「直人、なによ!?」
「直人さん、まだ言ってねぇから!黙っといてよ、もう。」
私達の声が被った。振り返った直人はニカッとドラ焼き型の口を大きく開けて「胃袋掴めよ!グッジョブ!」親指を立てる。目の前で困った様に照れる臣に「告白、してくれるの?」なんて聞いてみた。
「それ、まじで今夜言うから。とりあえず聞かなかったことにしてよ。」
「…うん。じゃあ今夜楽しみにしてる!」
「うん。」
キュッと白い帽子を被って厨房に入っていく臣の後ろ姿がかっこよくて、私は今夜のおかずは腕によりをかけて作ろう!って気合を入れたんだ。
Thanks LOVE yuca ★
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