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「そろそろいんじゃない?」
私たちの溜まり場は学校から3分の目と鼻の先にある長谷川邸。これまた吃驚なおぼっちゃまなまこっちゃんは、地主の息子でど広い敷地内にあるどデカいお屋敷に住んでいて、その離れにある庭付きの一角にいつも学校帰りに集まって同じ時を過ごしていた。
クリスマスイブの今日は、もう片方ピアスを開けようと思ってさっきからずっと左耳を氷で冷やしていた。目の前では黒髪の勇征ちゃんが安全ピンの先っちょをライターで炙っていて…
開けるのはシャレオツなオシャレ番長なまこっちゃん。
勇征ちゃんの声に私はチラリとまこっちゃんを見る。
その後ろ、これまたどデカいソファーに並んで座っている朝海と、彼氏のなっちゃん。朝海を挟んで反対側、なっちゃんの親友の健ちゃんが未成年の喫煙をしている。
「まこっちゃん優しくしてね、」
「任せてよ。」
「勇征ちゃん手握って。」
「うん。」
テーブルに肘をついて勇征ちゃんの大きな身体に抱きついてギュッと手を握る。
消毒を終えた安全ピンがまこっちゃんの手に渡って私はそっと目を閉じた。
「大丈夫、まこっちゃんうまいから。俺も痛くなかったよ!」
耳元の勇征ちゃんの声に小さく頷く。その瞬間、プチって音が聞こえた。
「お、いい感じ。」
「…ぷ、ゆき乃顔が酸っぱくなってらー!」
健ちゃんらしき声が聞こえて目を開けると、ソファーの上でなっちゃんの膝に頭を乗っけて転がってる朝海の足は健ちゃんの膝に乗っかっていて、太ももを撫でる健ちゃんの手が何でか厭らしく見えたなんて。
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