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思いっきり後ろから背中を抓ってやると苦笑いで「ゆき乃、ごめん。」なんて言う勇征ちゃんが許せなくて。
さっきまでたかが金髪にキュンキュンしていた自分を疑った。無言で勇征ちゃんから離れようとする私の手をキュっと握った勇征ちゃんは、そのままジャケットの中に手を突っ込んだ。
それからおもむろに中で指を絡めて恋人繋ぎ。
「先行くね。」
健ちゃんと朝海にそう言うと、今の今まで話していた綺麗なお姉さん達にほんの軽く頭を下げるとそのまま私を連れて行く。
「ゆき乃寒くない?」
「別に。」
「肉まん食お?ね?」
食べ物で機嫌とる勇征ちゃんだけど、いざホクホクの肉まんを前にしたらつい顔も綻んでしまう訳で。
「熱いからちょっと待ってね。」
2つに割った肉まんをフーフー冷まして指でちぎると、それをまたフーフーして私の口元に差し出す。そのままパクッて勇征ちゃんの指ごと食べると照れたように笑うんだ。
「美味い?」
頷く私の頭をポンと撫でるとパクって勇征ちゃんも肉まんをかじる。
「あ、ほんとだ。美味い。」
だから背伸びして勇征ちゃんの腕に捕まって「もっと、」途端に真っ赤に照れて、今度は勇征ちゃんがかじった所をフーフーしてそのまま私にそこを差し出したんだ。
間接キス…なんていつも学校でしてたけど、目の前の金髪の勇征ちゃんは何でかレア感があってやっぱりちょっとドキドキする。
「手、ちっちゃいね、ゆき乃。」
キュッてまた勇征ちゃんのポケットにしまわれる私の手。
「勇征ちゃん、二人きりになると別人。」
「え?」
「なんか悔しい、」
グググって勇征ちゃんの鎖骨に頭を押し当てると「…ギューしちゃう。」勇征ちゃんがその場で私を抱きしめた。
途端にドキドキ心拍数があがって。やっぱり勇征ちゃんはズルいと思ったなんて。
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