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掛け布団が剥がれてて、無理やり引っ張ったら「うーん、」って横から勇征ちゃんの声。
「勇征ちゃん、寒い?ごめんね、」
つい自分の方に持ってきちゃったけど、勇征ちゃんの身体にふわっと載せると掛け布団の中、目が開いた勇征ちゃんと視線が絡んだ。
なんだ、起きてたんだ。
「寒いけど、こーすりゃいいよ。」
「え?」
グイッて勇征ちゃんの腕が私の肩に触れてそのままギュッと抱きしめられる。途端に勇征ちゃんの温もりに包まれて、
「勇征ちゃん、酔ってる?」
「んーん。ゆき乃、いい匂い。」
頬をスリスリする勇征ちゃんにトクンと心臓が高鳴る。なんだ、これは。至近距離で勇征ちゃんを見つめると、薄らと目が開いて、ニッコリ微笑まれた。
「…勇征ちゃん、」
「シッ、見つかる。」
え?勇征ちゃんの指が私の唇に触れて、まこっちゃんだかなっちゃんだかがほんのり寝返りをうつ音が聞こえた。
何故か息を潜める私と勇征ちゃん。数秒後にまた寝息が聞こえたのを確認すると、「ゆき乃、」小さく耳元で名前を呼ばれて勇征ちゃんを見つめた瞬間、ちゅっと触れた唇に時が止まったようだった――――――
「おやすみ。」
なんて事ないって顔で笑った勇征ちゃんは、私を抱きしめたまま深い眠りに入っていく。
嘘でしょ。私今キスされた?しかも、勇征ちゃんから…
平成最後のクリスマスの朝、誰にも内緒のファーストキス。
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