「今年はこれがいいんじゃないかと思っているのですが、いかがですか?」
毎年お中元を決めるのも一苦労で。ありとあらゆるカタログを取り寄せてその中から手頃かつ、安っぽくないものを選ぶのはそこそこ面倒くさい。なんなら当たり外れがないか、実際試食したりもする。総務部長である清木場さんにそれを見せるとジーっと見つめて、それから苦笑い。
「いいよそれで。」
超拍子抜け。前部長の松本さんはめっちゃ試食して色々吟味したのに。え、いいの?私の一存に乗るわけ?なに、この人。仕事して!なんて思いながらも苦笑いを返す私。
「あの、本当にいいんですか?」
恐る恐る聞く私にむしろなんだよ?って顔で清木場さんが「え?」なんて首を傾げる。
「いや、前の松本部長はわりと吟味されていたので…。」
「あーなるほどね。まっちゃんはそうかもしれんなぁ。んじゃとりあえず買ってきて?食べてから決めるわ。」
うわ、適当。これ私が言わなかったら決まってたよね?すごいな、この人。
「篤志つけてやるから。」
「…はぁ…。」
篤志さんつけたらなんなんだ?そんな疑問はいざ篤志さんと買い物に行ったことで理解したんだ。