04

「別れたわりに元気じゃん?」

「…そう?」

「うん。」


アフター5。久々に親友とご飯に行けることになった。ここ最近の近況をとりあえず話した私に、親友の梨奈がそう告げた。戸惑う私に「顔も笑ってるし。」なんて続けた。
顔、笑ってるの?私ってば…。頬を指で摘まんでみるけど笑っているのかなんて自分じゃ分からなくて。首を傾げるといつものピーチティーをストローでチューっと吸い込んだ。


「自分じゃ意識してないっていうか分からないけど。そういや光ちゃんのことあんま考えてないかも?」

「…ゆかって元が冷めてるよね、恋愛に対して。光ちゃんのことは好きだっただろうけどなんとなくブラウン管の中のアイドル的な感情に思えてたんだけど。」


梨奈に言われて固まる。なにそれ、そんな風に見えてたの?冗談でしょ?って顔で梨奈を見ても無反応で。いやいや今の梨奈のが感情なくない?なーんて。
確かに光一のこと、好きだったはずなんだけど、あながち間違ってもいないのかもしれない。好きだと思っていたけれど、別れなんて一瞬で、胸がギューッて苦しくて悲しくて涙が出るものでもないのは、私が光一をそれほど好きではなかったから?なんだろうか。


「…そうなのかも。私泣いてない…。」


そう呟く私をちょっと心配そうに見つめる梨奈。その顔の如く…


「ゆかはあんまり自分のこと話さないから。たまには甘えてもいいんだよ?」


そうやって優しい言葉をかけてくれる梨奈が親友でよかったと思わずにはいられない。



― 5 ―

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