車で家まで送ってもらった。シルバーの大きな車を運転する清木場さんは大人でかっこよくて、渋い。私のタイプではない。こんな男臭い人を好きになったことなんて今まで一度もない。もっとこう、男らしい一面も持ちつつ外見は可愛らしくて…―――「あ、忘れてた。」LINEを開くと片岡くんからのお誘い。夜ご飯どう?って…。どうしよう、今日はあんまり人に会いたくないかもしれない。片岡くんを断って今日は【第4出動!】梨奈、助けて。梨奈だけは特別で会いたくない日なんてないから。
「珍しいね、ゆかが家によんでくれるなんて。」
「半日かけて掃除したもん。」
「いつもしときなよ。」
「無理。嫌い。」
「はは、そんで?半日かけて掃除してまであたしを呼びつけた理由は?」
パンケーキを焼いて生クリームと苺をトッピングして上からハチミツをたらす。我ながら美味しそう。遠慮なくパクパク食べている梨奈を前に、正座をした私はボソっと小さく言った。
「清木場さんの家に泊まりました。」
「…――はいっ!?え、シたの?」
「してない、してない、そーいうんじゃない。でも…――私の気持ちが半分ぐらい傾いている、かもしれない。」
この期に及んでまだ認めていない私。そして梨奈を呼んだのはそう、背中を押して貰うため?かもしれない。
とりあえずここ数日の出来事を梨奈に話すとニンマリ笑っていて。
「梨奈?」
「ん〜なんか嬉しいなぁって。ほら前にも言ったかもだけど、ゆかってやっぱり自分のそういう気持ちあんまりあたしにさえ話したがらないでしょ。だからここまで思いつめたのかもしれないけど、頼って貰えるのって親友として嬉しいって思って。」
「梨奈…。ありがとう。」
「はは、それで。ゆかって見た目軽く見られがちだけど、意外と真面目なとこもあるし、その今持ってる気持ち大事にしたらいいよ。」
なんかちょっと腑に落ちないけど、間違ったことは言わないからなぁ。
「私軽く見えるの?初耳なんだけど!」
「あは、そこは流していいところ!キヨキバ見てみたいなぁ〜。」
「だから呼び捨てやめて。」
「ごめんごめん。で、えっとナオトはどうするの?」
梨奈に言われて思い出す、片岡くん。正式にというか、真面目に告白されてドキドキしていたのをやっと思い出した。こんな気持ちで片岡くんの所にはとてもじゃないけど、いけない。
「仕方ないよ。こればっかりは。」
梨奈の仕方ないって言葉を受け入れたものの、片岡くんの愛は私が思うよりも大きかったなんて。