「どうだった?サイズ。」
シャワーを浴び終えた私に、すでにリビングで煙草を吸っている清木場さんがそう聞いた。キッチンでは篤志さんが珈琲を淹れている。そんな篤志さんをチラリと見る私に満面の笑みを返す篤志さん。この下着、篤志さんが適当に買ったって言ってたよね?確か。
「…ピッタリでした。」
私の言葉に篤志さんが微笑んだ。
「凄いやろ、篤志。変態やろ、篤志。得意なんよサイズあて。見ただけでだいたい分かるんやって。」
それ笑えないですけど。すんごい特技だと思うけど…。苦笑いで篤志さんを見るとちょっとだけ困ったように笑った。
「篤志さん、彼女いますか?」
「あはは、やっぱそう思うよね?でも残念ながらいなーい。いたらこんな俊ちゃんと絡んでないよ。」
「…ですよね。」
「はっ。これで保科の篤志を見る目も変わったな。いい気味だ。」
ガハハハって豪快に笑う清木場さんに呆れた顔を見せる篤志さん。それでも篤志さんは別になんてことないって顔で私を見るとニッコリ微笑んだ。
「昨日はよく眠れた?保科ちゃん。」
「…ぐっすりです。」
「俊ちゃんになんもされなかったかなぁ?」
隣で煙草を吸ってる清木場さんを見てそう言うも、「爆睡してる女に手出すほど飢えてないわ。」って。そうなんだけど、まぁ正論だけど。泊めて貰って色々介抱して貰って頭があがらないのかもしれないんだけど、なんでだろうかこの空しさ。確かに私と清木場さんってただの上司と一社員。でも清木場さんって自分でこいつって決めた人以外にはこういうことってしないんじゃないかって、勝手なイメージで。別になにかあって欲しかったわけじゃない。あったらあったでまた別の問題になってくるし。ただそんなあっけらかんと言われると、私って人間の女としての価値がないって言われたような気になるなんて。
「爆睡してなかったら手だしてくれたんですか?」
思わず出た言葉に、我ながらあっぱれで、一秒前の自分を激しく後悔したなんて。