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「だりぃな〜。はよ終わらんかなぁ。」


いつまでもベンチから立ち上がりたくないらしい清木場さんの手首を掴んでグイっと引っ張るものの、力じゃ到底男性には適うはずもなく、あっさりと清木場さんの膝の上に頭から突っ込んだ。


「盛んなや〜」

「な、違います!立ってくださいよ?そろそろ戻らないと、マジで怒られますよ?」

「まぁそうやな〜。せわしない、行くか。」


スッと清木場さんが私の腕を掴む。え、なに?なんで掴んだ?なんてことないって顔で歩いていく清木場さんは、会場内に入る寸前、スッと繋がっていた手を放した。まるでなにもなかったかのように。…それなのに私の心臓だけドクドク脈打っていて…。チラリと清木場さんを見ると、しっかりした顔でまた偉いさんに会釈をしていて、胸がざわつく。片岡くんのことすら私の脳内から消えていたに違いない。


「はぁー終わった。おう、飲みに行くぞ?」


○△商事の会長の誕生祭を無事に終えた瞬間、清木場さんがネクタイを外した。大通りまで行くと一台車が止まっている。そこに誘導する為ふわりと清木場さんが私の肩を抱いて近づくと、運転席のドアがガチャリと開いてサングラスをかけた篤志さんが出て来た。


「すっごい顔だよ俊ちゃん。保科ちゃんお疲れ様。疲れたでしょ?」

「篤志さんこんばんは。清木場さん頑張ってましたよ。ね?」

「…まぁ、な。篤志、いつもんとこ連れてって。」


清木場さんが後部座席に入り込んで私の腕を掴んだ。そのまま私を隣に座らせて早速煙草を咥える。篤志さんが苦笑いで「一応禁煙なんだけどなぁ、ここ。けど、保科ちゃんが相手で正解だったね、俊ちゃん。僕に色々聞かせてよ、今日のこと。」ニッコリ微笑む篤志さんは静かに車を発信させた。


「今夜は朝までコースだから。」


清木場さんはそう言って煙草の煙を窓の外に吐き出した。朝までコースって、マジで!?



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