13

「清木場さん。」

「そっか。分かった。また誘うね。」


ポンって軽く髪を撫でた片岡くん。別に悪いことしているわけじゃないけど、何でか申し訳ない気持ちになった。清木場さんに誘われてなかったら片岡くんと普通にデート、していたんだろうか?目線の先は焦げ後のついたハム。一番うまく焼けたのを片岡くんに差し出した。


「食わせてよ?」

「…へ?」

「あーん。」


どら焼き形の口をあけて私を見ている片岡くん。確かにここには彼と私の2人きりだけど。もしかして清木場さんに妬いた?フォークに刺してくるりと巻き付けた私の手首をキュッと片岡くんが上から握った。ハムが口に入る寸前、低い片岡くんの声が小さく届く。


「好きだよゆかちゃん。」


ドキッとした私を満足気に見てハムをパクついた。ジッと見つめる私のオデコを反対側の手で小さく揺らす。ゴクリと飲み込んでニコッと微笑んだ片岡くんはいつもの片岡くんだった。

胸がドキドキする。同期って範囲から頭一個飛び出しているような感覚なのかもしれない。可愛い男の直球はずるい。どんどん片岡くんにドキドキする日が増えていく。



― 14 ―

prev / TOP / next