年下王子様 | ナノ


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「川村壱馬です、こんにちは。えーっ、ちょっと緊張してます。22歳大学生です。趣味は歌と空手。一応黒帯です。ここでほんまの恋、見つけたいと思ってます。よろしくお願いします。」


デニムオンデニムの壱馬はふんわりパーマがかかっていて、言うなればトイプードル。低音ボイスと顔のギャップにオトナ女子達もほんのりうっとり。翔吾とは違う意味で母性本能を擽るタイプなんじゃないだろうか、壱馬は。どんな恋が繰り広げられるのか今から楽しみだ。

そして最後の王子様。くるりと振り返った彼は若干挙動不審にキョロキョロと眼球を動かしていて。


「鈴木昴秀19歳。最年少です、ね。デザイン系の専門学校行ってます。趣味でラップやったりしてます。下手ですけど…。綺麗なお姉さんと恋できるの楽しみにしてきました。よろしくお願いします。」


なんとなく、ほおっておけないタイプ…そんな人なんじゃないかって。坊主がちょっと伸びたぐらいの金髪と、知的に見せているのか、細いフレームの眼鏡が印象的だ。

さて。年下王子様の自己紹介が終わって、今度はオトナ女子達の番。

ふぅーと1つ息を吐き出したのは一番左に立つマイコ。


「中条マイコです。保育士やってます。」


そう告げると年下王子様達から「おおー!」なんて歓声があがった。ちょっと照れた顔でマイコが笑うと「可愛い。」誰かが呟いた。


「自分から話しかけるの少し苦手ですが、皆さんと仲良くしたいので頑張ります。あ、年齢は27歳です。どうぞよろしくお願いします。」


深深と頭をさげるマイコに、年下王子様からの拍手が起こった。

終わりました、そんな意味を込めてマイコは隣にいる朝海に小さく会釈をする。


「立花朝海です。25歳です。和歌山出身です。今は東京でOLしてます。話すの好きなので楽しみです。よろしくお願いします。」


ペコッと頭を下げるとインナーカラーの青が見え隠れした。「髪、青じゃん!お洒落!」言ったのは昂秀で、朝海から目が離せなくなるなんて。


「遠藤幸子です。28歳です。趣味は料理です。雑貨屋さんで働いてます。古着が大好きです。よろしくお願いします。」


ふんわりショートの幸子は色白で目が大きくて口が小さくて絵に書いたようなそんな人で、年下王子様達がほんのり息を飲むのが分かった。


「久住美桜です。26歳です。シュリンプバーで働いてます。緊張してますが、頑張ります。どうぞよろしくお願いします。」


サッパリ系の美人…色素薄めのセミロングの髪をさらりと靡かせて笑った。

オトナ女子への拍手が一斉にあがって、みんなが照れ笑い。

いよいよ、第一章が幕を開ける。

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