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「じゃあ始め!」
健太の掛け声で始まった二戦目。
夏喜&マイコペアと、対するは翔吾&朝海ペア。
「俺初試合やねん、絶対負けへんよ!」
「え、ちょっと口より手動かしてよ!てか、マイコさんとなっちゃんうまくない!?」
苦戦しつつもラリーを繰り返す4人。だけど…
「なっちゃんなの?夏喜くん。」
「え?あ、うん。うわっ!!」
翔吾の放った魔球がマイコ目掛けて飛んできて、咄嗟に腕でマイコの身体を止めた。夏喜の腕にポコンっと当たった玉はコロコロと床を転がる。
「マイコさん大丈夫?」
「…う、うん。助けてくれてありがと…なっちゃん。」
…お互いめちゃくちゃ照れていてギャラリーまでもがその恥ずかしさが移りそうで…。
「マイコさんごめん!ほんまに大丈夫やった?」
打った翔吾がマイコの腕を掴んで謝った。
「うん、大丈夫。なっちゃんが守ってくれたから。」
「…守ったって程じゃないけど…当たんなくてよかった。」
ポンってマイコの頭に一つ大きな夏喜の手が重なった。そんなことがあったからか、夏喜とマイコペアの息はまさにぴったりで。卓球なんてほとんどやったことのなかったはずのマイコだけどれど、終わってみれば大差をつけて勝利を獲得したんだった。
「やった―――!!なっちゃんのお蔭!」
「いやマイコさんうまいよ。」
「そんなんことない!なっちゃんのがうまいって。」
一見クールに見える夏喜だけど、こうして笑うとちょっと幼くて可愛い。母性をくすぐるのは、壱馬や翔吾だけじゃないんだって、オトナ女子達は思うわけで。
こうしている間にも恋はどんどん加速していってしまう。こんなところでおいてきぼりを食らっていたらカップルになんてなれやしない。
夏喜と盛り上がっているマイコを見ている健太の腕をそっと掴んだ。
「あたし、健太とペアになりたい。」
「…え、俺?え、嬉しい…。組もう!」
お世辞でも構わない、最初は。社交辞令でもなんでもいい。健太が最終的に自分を選んでくれるのなら…そんなことを思う健気な朝海を、これまた一途に昂秀が見つめていたなんて。
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