年下王子様 | ナノ


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いざ勝負!って時だった。再び鳴るLINEの通知音。思わずみんなが顔を見合わせる。


「え、今鳴ったやんな?」


審判の翔吾が苦笑いでスマホを取り出す。続いて他のメンバーもLINEを開いた。


「えっと、読みます。」


翔吾が読み上げる。


「この卓球勝負の優勝者2名は、それぞれ気になる相手を誘って入口にあった濃厚ソフトクリームを2人で食べられるご褒美があるので、皆さん頑張ってください…。あ、あれか!むっちゃうまそうやったソフトやん!うわ食いたい!」
「あ、あったね、ソフトクリーム!わぁ、食べたい!絶対負けらんない!」


顔の横でグーを作って「頑張ろ!」って気合を入れる幸子の頭を壱馬がポコっと撫でた。


「一緒に食うで幸子!」
「うんっ!」


なんか、できあがってる…―――マイコの視線を追う健太は「俺らも頑張ろ!」小さく背中を叩いた。

ルールは先に10点取った方が勝ち。人数が合わないから組替えは4回。その中で1番多く勝った男女がソフトクリームのご褒美に決まった。

第1戦目は、壱馬&幸子ペアVS昂秀&朝海。早速闘志を燃やす戦いが幕を開けた。


「う、わ、あれ、」
「ちょっと昂秀、」
「うん、わ、わ、ごめん!おっかしいなぁ、」


頭をポリっとかく昂秀をシレっと見つめる朝海。全然的はずれなサーブをする昂秀を見てオトナ女子達が若干の引き具合。

呆気なく壱馬&幸子ペアが勝利をおさめた。


「よっしゃー!!」
「わーい!!」


ふわりと壱馬に抱きつく幸子に、またマイコの顔が歪む。だけどそんなマイコの背中を押す健太は、「俺が絶対勝たせてあげるから。」ニッコリ微笑むから、ほんのり気持ちが和らいだ。

健太は、マイコの気持ちを分かった上でマイコを誘っているのだろうか?なんて疑問すらうまれそうなぐらいに優しくて。

対するシュリンプバー美桜&長身夏喜。なんていうか、美男美女。見た目がすごく似合って見える2人だった。


「勝負!」


翔吾の掛け声で先行の健太がポコンと玉を転がした。ラリーの接戦が続く中、マイコの放った玉がツーバウンドする。


「マイコさん、1点。」
「え、やった!!!わ、入った!」


翔吾の声に健太とハイタッチするマイコ。


「ナイッシュ、マイコ!」


健太がポンって優しく背中を叩くと自然とマイコも笑顔になっていて。この2人、頑張って欲しい…なんて応援したくなるほどに。


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