「アイス食ってこ?奢ってやるよ!」
「うん…」
駅前にある31アイス屋さんに寄るのが私達の日課となっていた。いつもながらのチョコと抹茶を選ぶ私に対して、毎回冒険している直人くんは今日も新発売のレインボーカラーのアイスを口に入れてニッコリ。
「ね、アキラ先輩と何話してたの?」
「…え?」
「さっきさ、俺が着替えに行ってる間」
「見てたの?」
「まぁ、偶然…」
ちょっとだけ唇を尖らせている直人くんがやばいぐらい可愛い。もしかして、妬いてる?直人くんはレインボーカラーのアイスをどんどん食べていって…あー私も一口欲しいって思って思わずその手首を掴んだ。
「え、なに?」
「一口欲しいよ…」
「ああごめん。ハイ…」
スプーンに乗せたアイスを私に躊躇なく差し出す直人くんに、それをパクっと舐めると、カアーって赤くなった。わわ、照れた!!
「ねぇ答えてってば?」
「別になにも…」
「嘘つけ?」
だって言えない!まだ付き合ってないのか?聞かれてた…なんて。直人くんとのこと突っ込まれてたんだよ〜!って心の中では思っていても、本人目の前にしてそんな告白まがいなことはさすがに私だって無理だよ。
「そんなに気になるなら自分で聞いてよ、黒沢先輩に…」
「わ、怒るとこが余計怪しいな〜。あーあ、俺のゆきみちゃんがアキラ先輩に取られるんのすげぇ嫌だ…」
またそういうこと。心にもないこと平気で言って私の反応見て楽しんでるんだから。一々ドキドキする私の身にもなれっての!
「直人くんには騙されない」
だから口を結んでそう言うと、ふわりと私の手に直人くんの手が重なった。
「マジで言ってんだよ俺」
低い声色にドキっとして直人くんを見つめた。