限界
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【said 朝海】
付き合う上で身体の相性は大事だと思ってる。こう見えて、強引な男は好きじゃない。女に生まれたからにはあたしだって甘やかされたいと思うわけで。
「健太、そこ…、」
「え、ここ?」
「ん、そこ、やばい、」
「了解。」
もはや指なのか舌なのかも分からないけど、健太の愛撫にもう二度も昇天させられていた。男って早く挿れたい生き物、なんじゃないの?って思うけど、そこまでいかずに健太はむしろ焦らしているのだろうか…。
これじゃあたしから言いそうだ。
――――早く挿れて!と。
でも健太はジュルリと音を立ててそこに顔を埋めて執拗にあたしの心地よい場所を舐める。
あ、このままだとまたイっちゃうよ。ギュっとシーツを握るとそこに健太の指が絡まった。
と同時に脳内が真っ白になる。肩を揺らして喘ぐあたしを下から「可愛い。」って言ってくれる健太に、ドキドキする。
「健太、キスして。」
「うん。」
チュって触れるだけのキスなんて当たり前に物足りない。首に腕をかけて舌を出すと、迷うことなくそこに舌を絡める健太をギュっと抱きしめた。
下半身が触れて、健太のソレが大きく盛り上がっているのが分かる。だからそこに手を這わすと、キスの途中、健太の目が見開いた。
目が合ってちゅって鳴るリップ音。
下唇をハムっと咥えると健太が小さく吐息を漏らす。
「…も、挿れてもいい?」
やっと健太の口からでたその言葉に無駄にテンションがあがる。
「…我慢してたの?」
「ん〜まぁ。嫌だなって思われたらそこで止めなきゃって思ってたから。止められるように制御してはいたけど…限界。」
掠れ気味の健太のハスキーな声に下から首筋をペロっと舐めた。
そのまま喉仏に吸い付くと、「ンアッ」って健太の腰が浮く。
あたしの上でサラリと健太の髪が揺れる。隙間から見える大きな目が真っ直ぐにこちらを見ていて…
「好き…。」
「俺も、好き。」
用意周到なのかしっかりとゴムを装着した健太がゆっくりとあたしの中に挿いってきた。
たかがこれだけのことなのに、どうしてか泣きそうになったなんて。
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