女として… 

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「マイコさん、絶叫系得意なん?」


隣に座った壱馬くんから軽い興奮が見える。すんなり隣を譲った臣ちゃん、なんだか裏がありそうだけど、今は私も興奮状態でそれどころじゃない。

絶叫系大好きだから久しぶりのジェットコースターに胸がドクンと脈打つ。


「ふふ、私大得意!怖かったら手握ってあげるよ?」

「ちゃうわ、ほんまに!」

「あら、遠慮しなくていいのに?」

「マイコさん、年上ちゃうかったらキスして口塞ぐで、ほんま!」


…え、なんて?思わずビクっと肩を逸らす。だって壱馬くんだよね?そんなキャラなの、この人…。

ポカンとしている私を見てブハって吹き出した。


「冗談やって、するわけないやろ、慎の女に。」

「…あの、それ、タメ口…私舐められてるってこと?」

「え?あかん?けど俺、女って思う人はみんなこれやしなぁ…。」

「え、なに?」


それって女として見てるってこと?至近距離で目があうと、近いその距離をほんの少し近づいた。

ドキっと胸が鳴る。


「か、壱馬くん?」

「なんで今からマイコさんには敬語使わせていただきます!」


ニって笑うからホッとして「こら!」って壱馬くんの肩を叩く。


「それ女として見ないってこと?」

「はは、冗談ですよ。」

「もー敬語禁止!」

「しゃあないなぁ。俺付き合うた子にはめっちゃ愛情注ぐタイプやから。」

「そんなの私だってそうだよ。」

「ほんま?ほな俺、甘えてもええ?」

「…いいよ。」

「ふは、マイコさん可愛い。」


トンって身体をずらして私に寄り添う壱馬くんに押し返すとまたトンって押された。

冗談、だよね?

一々間に受けちゃだめ。そもそも私には長谷川くんって心に決めた人がいるもの。


「あ、ほら、動くで。」


ふわりと壱馬くんの手が私の上に重なった。ドキっとして視線を向けると、嬉しそうに笑っていて、その顔はちょっとずるい、なんて思ってしまう。

でも次の瞬間、ハイスピードを暗闇を駆け抜けていくコースターに、気づいたら壱馬くんの腕にギュっと絡みついていたんだ。



「足、ぷるぷるしてへん?」


先に降りた壱馬くんが紳士的に私に手を差し出してくれていて。めちゃくちゃ楽しかったけど、久々の快感にまだ身体がついていけていないのか足が震える。


「やばい、怖いわけじゃないのに…。」

「ほんま、目が離せへんな。慎が惚れたんも分かる気がする…。」


ボソっとそんな言葉を言ったけど、ジェットコースターのせいにして、このドキドキに気付かないフリをしたんだ。

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