頼れる臣ちゃん 

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【said マイコ】


「臣ちゃん、ありがとう。臣ちゃんがいてくれてよかった。」

「なに、急に?」

「そう思ったから言ったの。そーいうのは素直に受け取るのがいいんだよ?」

「はは、なるほどな。んじゃ素直に受け取っとく。けど朝海が振り返った時にマイコの顔があるとないとじゃ違うと思うよ。男はいくらでも変えられても友達は変えらんねぇだろ。たぶん孤独しか感じてねぇから今の朝海。あったかく迎え入れてやろーぜ。」

「うん。」


臣ちゃんはいざって時に頼りになる。いつも優しい隆二くんといざって時に頼りになる臣ちゃんはいいコンビだって思うんだ。


「登坂さん!でもマイコさん慎のもんなんで。」


静かだった川村くんがとんでもないことを言い放った。

思わず後ろを振り向くけど、至って真剣で。

だから臣ちゃんの視線までもが私に突き刺さって。


「慎ってPJの長谷川?だっけ?そうなの?」


超デリカシーのない質問が私に飛んできた。川村くんのせいで。

ここに長谷川くんがいたらどうなっていたことやら。

煙草に火をつける臣ちゃんはほんの少しだけ窓を開ける。


「いいのこれ、禁煙だったらどうするの?」

「知らねぇよ。ファブリーズでもすりゃ戻んだろ。」


まるで気にしていない臣ちゃん。でもよく見ると、灰皿らしき物があって、そこで灰を落とすとまた口に咥えた。


「マイコ、話し逸らすな。」

「…違うもん。だって別に長谷川くんに好きって言われてない。」


キスはしたけど。ギュってされたけど。でも「好きです。」とは言われていない。


「ちょっと!分かりますよね?慎があなたのこと好きなことぐらい。」


身を乗り出して川村くんの手が私の後部座席を掴んだ。


「壱馬〜。さっき言ったろ。女って生き物は一々口に出して言わねぇとダメだって。長谷川がどんなことしてきても、好きだの、付き合おうだの言わねぇ限りは、マイコは誰のもんでもねぇって。ね?」


最後だけふわりと優しく微笑んで私の髪を撫でる臣ちゃんはずるいやり手。

こんな男好きになったらいつも不安で仕方ない。

臣ちゃんの彼女さん、不安だろうな〜。


「分かりました、慎に伝えときます。」

「せっかく一緒に仕事するんだから、もっと交流深めようぜ、壱馬も、そっちの神谷も。」


窓の外を見ていた神谷くんが「あ、はい。ぜひ!」なんて笑ったんだ。

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