悲しい真実
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「どういうことですか!?哲也さんっ!!」
胸ぐら掴む勢いで哲也さんを睨みつけると「別れようって…。」やっぱりな言葉が返ってくる。
だけどあの時ちゃんと気づけなかったわたしも馬鹿だって。
樹と直人さんを天秤にかけているわたしに哲也さんを責めるしかくなんてものはきっとない。
でも許せない。
「見損ないました。」
グッと唇を噛み締めた時、トサカがオフィスに入ってきた。
「朝海、つかまった?」
「登坂くん。…ちょっと来て。」
トサカの腕を掴んでオフィスから出る。
中にはスタッフが多すぎて話が漏れたら大変。
コンセのドアのすぐ後ろにある階段下の小さなトンネルでわたしは息を吐き出す。
「なんかあったの?」
「登坂くん。朝海ちゃんと哲也さん付き合ってたの知ってた?」
「は、知らねぇよ、んなこと。つーかマジ?」
眉間にシワを寄せて片眉あげるトサカ。一瞬でイラついた表情に変わる。
でもギュっとトサカの腕を押さえて…
「昨日、別れ話したんだって。」
「土田マジ許さねぇ。一発殴んねぇと気がすまねぇ!」
「ダメだよ。大事にしたら朝海ちゃんが戻ってこれなくなる。哲也さんのことは後回し。今は朝海ちゃんの無事を確認するのが先。お願い、一緒に探して?」
「…分かった。心当たりは?」
「…来て、一緒に!」
腕を掴んだままPJフロアに行く。
トサカと二人で現れたわたしに、マイコが不思議そうな顔をしていて。
「ゆきみさん、どうしたの?」
「マイコ。」
ギュっとマイコに抱きつくと、わわってよろけそうになるけど、そのままわたしは耳元で小さく言った。
「朝海ちゃんがいなくなったの。一緒に探して欲しい。神谷くん今日シフト入ってる?」
「え、朝海ちゃんが!?な、なんで?」
マイコがわたしの顔を覗き込む。
「マイコは知ってた?朝海ちゃんと哲也さんが付き合ってたの。」
「そう、なの?全然知らなかったけど…。」
「それで昨日哲也さんに別れ話切り出されたみたいで…。今日16時入りなんだけど連絡つかなくて。」
「…そんなぁ。朝海ちゃん…。」
今にも泣き出しそうなマイコの頭をポンってトサカが撫でた。
「とにかく探すぞ。マイコも手伝え。」
「うん。あ、神谷くん今日はシフト入ってないの。」
「連絡してみて欲しい。」
「分かった。」
すぐに神谷くんに連絡するものの朝海ちゃんの居場所は知らないみたいで。
だけど「自分も行きます!」そう言って劇場に足を運んでくれた神谷くん。
わたしとマイコとトサカの三人がシフトを終えて、直人さんも後から参加するって言ってくれて心強い。
神谷くんもずっと電話をかけているけどやっぱり電波が届かなくて。
遅番の哲也さんはきっと気が気じゃないんだろうって思う。
朝海ちゃん、お願い戻ってきて。
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