彼氏いますか? 

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【said 朝海】


「慎はウーロン茶な。」


飲みの席のでかじゅまの口癖なんじゃねぇの?ってぐらいまこっちゃんを気にしているかじゅま。

でもあたしはかじゅまも可愛いけど、まこっちゃんに用があるわけで。


「最初に言っておくけど、マイコさん泣かせたら本気で怒るよ。」


あたしが真剣な顔でそう言うとまこっちゃんはシュっと背筋を伸ばした。


「もちろんです。僕本気です。」

「よく言った。で、ちゅーしたの?」

「う、え…そこは、答えません。」


真っ赤になって口を閉ざすまこっちゃん。


「いやさっき言ってたでしょ、僕のワガママで勝手にしたって。」

「それはマイコさんに迷惑がかかったら嫌だったから。」

「じゃあ同意の上ってこと!?…マイコさんの口からまこっちゃんの名前なんて特に出てなかったはずなんだけどなぁ…。」


首を傾げたあたしに、隣のカミケンがほくほくのウインナーをぶっさして口元に運ぶ。

パクっとそれを口に含むと肉汁がジュワーっと広がって思わず笑う。


「うまい?」

「うん、おいひー。」

「俺も食おう。」


ポンポンってあたしの髪を優しく撫でたカミケンはそのままビールを胃に流し込む。

地味にお酒の弱いあたしは、いつもいっぱい飲みたいけど、途中で寝てしまう。

あたし達の中で酒豪なのはえみさんぐらいだ。


「あの、立花さん。」

「ん〜?」

「マイコさんて、彼氏、いないですよね?」

「キスしといて何その質問!」


ケラケラ笑うとかじゅまがジョッキのビールを一気に飲み干した。


「朝海さん、慎のこと笑うなや。」


ド低い声にドキっとしたなんて。


「かじゅま、かっこいい!」

「…それいらん。で、マイコさん彼氏おるん?」


あくまでまこっちゃん派らしいかじゅまがイラつきながらあたしを見ている。

テーブルに肘をついてあたしはたった今運ばれた焼き鳥を1個口に入れるとそれを味わってから小さく言った。


「いないよ。」


安心したまこっちゃんの顔に、哲也さんを想ってほんのりセンチな気分。

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