おせっかい
【said 舞子】
「隆二大丈夫?」
「うん。ちょっとスッキリした、ごめんね。」
ポカリをちびちび飲んでる隆二は確かに顔色が少し戻っていた。臣は美波と健ちゃんの所で一服中。いつの間にか直人もそこで煙草吸ってる。
「りゅーじ髪痛まないのー?」
金髪の隆二のキャップから見え隠れする前髪を触るゆき乃にほんの少しだけ照れたように笑う。ゆき乃はうちのグループでもマスコットみたいな愛されキャラだからやっぱり隆二も癒されるよねぇ。
「ゆき乃も金にする?」
「しなーい。わたしは一途に赤だよー。」
「それ岩ちゃんと一緒にしてんでしょ?」
隆二に突っ込まれて目を見開くゆき乃。ムスッとしたゆき乃の後ろ、岩ちゃんと哲也がゆっくりと近づいてくる。もちろんの事ながら美波の哲也への気持ちを知っている私達。健ちゃんって安定剤があるとしても、なるべくなら哲也を美波の所へ行かせてあげたいと思ってしまう。もー岩ちゃんちゃんとゆき乃を捕まえておきなさい。なんて口には出さないけど。
「岩ちゃん、買い物行こ!」
先手必勝、ゆき乃がボーっとしている岩ちゃんの腕を掴んでまたお店が連なるフロアへと入って行った。慌ててついていこうとする哲也の腕を思わずムンズと掴んでしまう。当たり前に振り返る哲也は「舞子?なに?」なんて怪訝で。
「…運転疲れない?大丈夫?私マッサージ得意なの!手、貸して。」
「まだ平気だよ。」
「ちょっとやるだけでも違うから。ね?」
いなくなっちゃった2人を気にしているのは分かるけど、哲也はもっと他に目を向けた方がいいよ。なんて思いを込めながらちょっと強引に手の平をマッサージしている私に「はぁー。」大きな溜息をつく隆二。
「邪魔して、ないよね?」
哲也が小さく呟いた。
「俺、告るからゆき乃に。」
真っ直ぐに私を見つめて迷いのない哲也の澄んだ声にやっぱり胸が痛い。美波がここにいなくてよかった。真面目な哲也はそれでも私のマッサージを「ありがとう、楽になった。」そう言ってくれたんだ。終始隆二が嫌な顔していのが唯一の癒しだったなんて。
このキャンプ、大丈夫かなぁ。
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