平和な朝ごはん?

【said マイコ】


「不安になったらいつでもこれ思い出せや。」


そう言って壱馬が私の胸に紅い華を咲かせた。この印が消えないうちにずっとつけ続けたる…って笑った壱馬が私の心にいて安心できる。隣に座る壱馬は私が作ったサンドイッチをバクバク食べていて、まこっちゃんはサラダをゆっくり食べている。


「北ちゃん遅い…。野菜一々匂い嗅がないでよ?」
「いいじゃん。これしなきゃ嫌なんだよ俺。」
「知ってるけど、なんか嫌。」


言い合いしているゆきみを挟んで北ちゃんと樹。静かに珈琲を飲む樹の顔はすっきりして見える。その奥にいる陸は牛乳一気飲みしてムセてゲホゲホ。


「きったねぇな…。」


憎まれ口叩きながらも、タオルを陸に差し出す樹は優しいよね。


「はい、朝海とケンちゃんの分。」


クロワッサンやらミニバーガーやら、いっぱい作った朝ごはんを食卓に出すと朝海が嬉しそうに笑った。


「ろくなの食べてない。めっちゃ美味しそう…。」
「あー待った。その前に報告。」


ケンちゃんが朝海の隣に座ってからゴホっと立ち上がった。視線は当たり前にケンちゃんにいく私達。なんとなく幸せな報告が聞けるかな?って幸せな気分になった。


「朝海が俺の彼女になってくれた。ずっと好きでやっと叶ったの。だからありがとう…。」


ケンちゃんが照れくさそうに頭をかいてそう言うんだ。嬉しい報告にみんなが微笑んだ。


「よかった、マジで。」


泣きそうにそう言った陸が印象的で。そんな陸に対して朝海が「ありがと。」って笑顔でピースを返している。ふふふ、一時はどうなることかと思ったけど、やっぱり朝海の笑顔は最高に可愛い。



「あのあの、待って。あのね、いいかな…。」
「ゆきみ、どうしたの?」


バンっと立ち上がったゆきみはとんでもないことを口にした。



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