迷わぬ覚悟

【said マイコ】


シャワーの音に混じって漏れる私と壱馬の声。胸の突起を舌で転がす壱馬に身体が反応しているのが分かる。なるべく声が出ないようにってしていても、壱馬の舌で、指で肌に触れられる度になんともいえない気持ちになって甘い声が口から洩れてしまう。


「マイコ、こっち見い…。」
「んっ…。」
「慎と何回キスしたん?」
「…え、」
「それ以上にキスせな嫌やねん。」


…まこっちゃんに敵意剥き出しの壱馬が可愛い。「マイコが好きや。」そう言われて、私の気持ちが溢れ出した。躊躇いも、戸惑いもここにはない。あるのはただ壱馬とそうしたいって事実だけ。何度となく舌をジュルリと絡ませる壱馬の手が足の間、私のそこにゆっくりと移動していく。自分でもどんな風になっているのか容易に想像がつくけど…そこに指を入れ込んだ壱馬が微かに笑ったようだった。


「笑ったわね?」
「いや…。」
「うそ、笑ったでしょ?」
「まぁ。いやええ反応やし、嬉しいし、好きやし…。指、挿れんで?」
「ん。」


中指をグニュっと中に挿れた壱馬は私の腰を掴んで崩れないようにしながら身体に舌を這わせていく。なんかもう色んな箇所が心地よくて、ここがベッドの上だったのなら私はどう反応しているのだろうか?こんな狭い場所でみんなに気付かれないように声を潜めて壱馬と交わすキスの心地よさといったら溜んない。指がもう一本挿いりこむと、クチュっと音が鳴ったのが分かる。それすら心地よくて、壱馬にギュっと抱きつく。


「マイコ、俺のも…シて?」


私の手をソコに宛がう壱馬。結構前から覚醒していることに気付いていたけど…。


「いいの?シて。」
「あんま可愛ええこと言わんで。余裕ないねん…。」
「だって。」


しゃがんでソコを握ったままチュっと先端に口づけると壱馬がドンって後ろ手で壁に触れた。ハァッ…って漏れる壱馬の声に、上目づかいで見つめるとふわりと力の入っていない手で私の髪を撫でた。肩を揺らして大きく呼吸を繰り返す壱馬のお尻に腕を回してグググっと喉の奥まで呑み込むと「アアアアッ…。」堪えきれず漏れた壱馬の声に頬が緩んだなんて。


「お前…。」


なにか言いたそうな壱馬は乱れた呼吸を整えて私を引き上げた。思いっきり抱きしめられて濃厚なキスを繰り返す。涎なのかシャワーなのか分からない滴が垂れて、それすらジュルリと吸い付く壱馬のキスは、脳内真っ白になっていく。一度ぎゅうっと抱きしめると、「後ろ向いて、手ついて…。」壁に手をつく私のお尻を軽く持ち上げて後ろから壱馬を宛がった。この一線を越えられる相手は人生でそんなにいないと思う。この先私は壱馬だけでいい。うううん違う、壱馬だけでありたい…――――


「マイコ。大好き…。」


低い声で私を後ろから突く壱馬と、いけるところまでいく覚悟はできている。私はもう迷わない。



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