行かせねぇ

【said 壱馬】


明け方目が覚めた。夜中にリビングに降りてったらマイコとケンタが二人で話しとって…。単なるスキンシップやって分かるけど、マイコを撫でるケンタにすら嫉妬しとる自分がおってしょーもない。こんな汚い気持ち、全部洗い流そうって朝早ように目が覚めた俺は二階のシャワー室に入った。無心でシャワーを浴び終えてノズルを締める。振り返った瞬間、目の前の光景を疑った。


「…マイコ、」
「…壱馬、」


あ、俺二階のシャワー入っててんなぁ。さすがにこんな早ように誰もこんやろって思って。タオルも何も巻いてへん生まれたての姿のマイコに、ほんの一瞬見とれたんや。見つめあったまま数秒、ポタってシャワーの水が垂れ落ちた音に反応してマイコが俺に背を向けた。


「ご、ごめん私、音がしたからゆきみか朝海だと思って…出ま
「行かせねぇ。慎のとこなんて、行かせへん…。」


後ろからマイコの腰を掴んで、反対側の手で壁をついた。肩にチュっとキスをするとマイコの身体がビクっと揺れた。


「か、壱馬ッ…。」


マイコの呼びかけにくるりと反転させると真っ赤な顔して俺を見つめた。そのまま吸い込まれるみたいにマイコの唇に自分のを重ねた。ギュっとマイコを片手で抱き寄せてキスを繰り返す。


「壱ッ…待っ…。」


涙目で俺を見つめるマイコが不謹慎やけどすごく綺麗で。頬を撫でてマイコの耳に口づけるとまたマイコの身体がビクリと反応した。


「もう終わりにする、慎の前でかっこつけるんも、自分の気持ちに嘘つくんも…。マイコ、お前が好きや。マイコ以外、あかんねん…。」


ポロリと零れるマイコの涙を舌で舐める。迷うことなく舌を絡ませる俺に、マイコの舌が今やっと俺に絡まった…。至近距離で目が合ったマイコは妖艶でほんまに綺麗。誰にも邪魔させん…俺はシャワーのノズルを回して水を出すと、その下でもう一度マイコにキスを繰り返した。いつの間にかマイコの腕が俺の首に回されとって…ゆっくりと手を腕から下に下げて、胸をガシっと鷲掴みにする。


「ンッ、壱馬ッ…。」


甘く吐息を漏らすマイコの首筋に舌を絡ませて紅い華を咲かせた。



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