ケンちゃんの謝罪

【said マイコ】


コテージに戻ると既に部屋でぐったりしている朝海がいた。ベッドの上で真っ赤な顔している朝海。


「朝海、どうしたの?」
「マイコちょっと悪い。」


ケンちゃんがズカズカ中に入ってきて氷水に入ったタオルを絞る。


「熱出したの、朝海?」
「うん。」


タオルを絞るとケンちゃんは指を朝海の口に中に軽く入れた。そのまま前髪をあげて自分のオデコを朝海のとくっつけた。目を閉じて「ごめんな、朝海。」小さく呟くと、そっと離れてタオルをオデコに置いた。


「何があったのよ?」


聞いても何も答えないケンちゃんは「樹に聞いて。俺が朝海を看てる…。悪いけど、人入れないでほしい…。」珍しく感情的なケンちゃんに何かがあったんだって。意識が朦朧としているのか朝海はちょっと泣いてるようにも見えて…。


「分かった。でもなんかあったらすぐに呼んで?」


私は自分のとゆきみの荷物を持ってリビングに降りた。樹がゆきみの荷物を持って自分の部屋に持っていくけど…。


「樹!待って何があったの?」


振り返った樹は私を見て「別になんもねぇよ。」そう言うんだ。いやいやケンちゃんが樹に聞け!って言ったし。


「待ちなさいよ、樹っ!」


階段の途中、樹の腕を無理やり掴んだら、二人でバランス崩して、「キャアアッ!」こういう時って世界がスローモーションで見えるもんなんだ。樹が私の身体を抱えてそのまま二人で階段を転げ落ちた。物凄い音と衝撃だったけど、樹が抱えてくれたから大丈夫で。でも…―――「マイコ、い、樹…!?」抱き合ってる私達を見下ろすまこっちゃんとそれから奥に壱馬の姿が見えたなんて。その後ろのゆきみが放心状態でこっちを見ていて…。


「樹、もう大丈夫だから離して…―――え、樹!?樹っ!?」


クタって樹が私の上から転がった。ゆきみが走ってきて樹の傍にしゃがみ込む。


「いっちゃん、いっちゃん!いっちゃん、ねぇいっちゃん!返事して、いっちゃんっ、ねぇってば、樹っ!」
「ゆきみ、ちょっとどいて。」


陸が樹を見て「たぶん、脳震盪だよ。少ししたら目覚ますはず。大丈夫、樹は大丈夫だから、泣くな。」陸がゆきみの頭を撫でている姿を見てまた切なくなったんだ。でもそんな私に「マイコは、無事やんな?」壱馬の言葉に小さく頷いた。



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