乱さないで

「返事は急がないからマイコが言いたくなったらでいいし。無理に出すことないから。けど俺の気持ちは変わらない。誰よりマイコのこと好きだってこと、忘れないで…。」


まこっちゃんのお蔭で私のモヤモヤが半分取れた。拒否しようとすればできたのに私、まこっちゃんとのキス、嫌じゃなかった…。どうしちゃったのよマイコ…。

二人でコテージに戻ると当たり前にみんな雑魚寝していた。あんなに言いあいしてもちゃんとみんなで雑魚寝しているのがちょっと可笑しい。だけど…―――「ゆきみ…。」北ちゃんの所にいくって言ったゆきみの隣には北ちゃんなんていなくて、代わりになのか樹が後ろからまるでゆきみを守るかのように抱きついて寝ていた。北ちゃんはソファーで一人眠っているのを見て、何かがあったんだって。


「まこっちゃん、北ちゃんどんな感じだったか分かる？」
「樹とゆきみのこと絶対に信じないって怒鳴ってた。本当、なの？あの二人。」
「…理由はちゃんとあるみたい。」
「そうなんだ。」


私達が背中押しちゃったからゆきみはきっと頑張ったのかもしれない。でも今離れているのはそれが間違いだったってこと？樹があんなにも絡まっているのに、ゆきみは抵抗もせずに眠ってるってことは…


「余計なこと、しちゃったのかな私。」


答えが見えないから不安になる。健太と壱馬に挟まれて眠っている朝海も、陸の傍にはいってない。せっかくのキャンプがどんどん崩れていきそうで怖い。


「そんなことないよ。ゆきみが頑張れたのはマイコ達が背中押したからかもしれないけど、ゆきみ自身がそう思えたからでしょ。例えそれで北人となんかあったとしても、マイコのせいじゃないよ。大丈夫。樹があんなにゆきみのこと守ってるんだし、心配ないって。」


逆に樹が心配なのは私だけ？でもそこはまこっちゃんが分かってなさそうだから黙っておいた。


壱馬…私まこっちゃんと付き合ってもいいかな？きっと聞いたところで壱馬は「好きにせぇ。」って言うよね。きっともう、壱馬は私のことなんてなにも思ってないよね？このまままこっちゃんと一緒にいるのがきっと私の幸せだよね…？それでも壱馬が見える位置にコロっと寝転がった私を、寝返りをうった壱馬がパチっと目を開けた。

――――目が合うと「おやすみ。」今更優しく言うなんてずるい。これ以上私の心、かき乱さないでよ。

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