助けてやる


「で、とりあえず女ここに向かわせればいいんだな?」


トイプーカズマが長すぎない?って前髪の下から私を見つめあげてそう聞いた。童顔だけど声が低くてちょっと吃驚。女にモテそうな顔、してるなぁ…なんてジーっと見てたら「何見てんだよ。」思いっきりドスのきいた声で低く言われた。


「べ、別に見てない。」


そう言ったらチッて舌うちされた。トイプー全然可愛くない。隣の赤髪ホクトなんて一度も私を見ることもなく携帯弄っている。感じ悪い。韓流みたいな顔してるくせに。カズマもホクトも性格悪い、性格ブス。


「飲む?」


比べてリクは呑気にビールを飲んでいて、あろうことか私にもそれを差し出してきた。いや普通に未成年だし飲めないし。首を横に振るとちょっと考えてから立ち上がって冷蔵庫まで行くと何故かトマトジュースを取り出した。


「いらない…。」

「なんだよ、お前もトマト嫌いなの?」

「…そうじゃないけど、今はいい。」

「リク、そろそろちゃんと話させろって。」


ふざけている訳ではなさそうだけど、リクの態度にイラついているような声でカズマがそう言った。相変わらずホクトは無関心。


「分かってるよ。」


そう呟いたリクは一つ息を吐き出すと真っ直ぐに私を見た。


「助けてやるからこはるの腹ん中にあるもん全部吐き出せよ。」


真剣な瞳にドクンとまた変な緊張が私をまとう。ゴクリと唾を飲みこんで生まれて初めて自分の気持ちを人に吐き出したんだ。



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