仲間


そういえば、前に友達が話していたのを聞いたことがある。ここら一体はJSBって暴走族の配下で、この界隈はその傘下にいるランページとかいう族が仕切っているとか。そのチームの頭の名前が確かリク…。蒼きストイック王子なんて通り名までご丁寧に用意されていたような。

リクに連れてこられたのは海の傍にある大きな倉庫。そこには私と同じぐらいの年齢の男が沢山いて…。みんな自由にバイクを唸らせていた。楽しそうにみんなが笑っている。本当に楽しそうに…。


「リクって…何者?」

「さぁな。とりあえず仲間に紹介するから。」

「仲間…。」


だってみんながみんな、リクを見て道を開けるし、頭を下げている。一緒に歩いている私はもう見せ物状態で、舐めるような視線を飛ばされて嫌になってきていた。リクはそんなことお構いなしに飄々と歩いていて、倉庫の中にある小部屋の入口で「あ、女!?」なんて声がかかった。


「タカヒデ、カズマとホクト呼んできて。」

「はい。」


タカヒデって呼ばれた子は前に金曜ロードショウで見たアバターって映画に出てきそうな雰囲気で、長身を走らせてどこかへ行ってしまった。そのままガチャリと小部屋のドアを開けると、意外と中は広かった。

大きな黒いソファーが真ん中にドカンと置いてあって、そこに座るリク。キョロキョロと辺りを見回しているとすぐにドアが開く。トイプードルみたいな髪型の男と、赤い髪をオールバックにした垂れ目が中に入ってくる。リクの隣にいる私を見てゲンナリした顔を見せた。


「…何事?」

「リクの女?」


…たぶん私宛ではないだろう質問に表情一つ動かせずにいる。


「こいつこはる。学校の屋上から飛び降りようとしてた所偶然助けちゃって。お前らも協力したって?」


クシャって私の髪を撫でるその仕草に慣れないながらもドキっとしたなんて。


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