私の日常


―――――世の中は嘘で溢れている。

幸せなんて、手に入らないものだと思う。

愛だけじゃ人は生きていけない。



「こはる、ママとパパどっちについていくか選びなさい。」


…―――は?なんだそれ?意味不。つーかなに、離婚でもするわけ!?冗談でしょ?って顔で振り返ると、至って真剣な顔したママがこっちを見ていた。確かにうちは両親とも仲はよくなかった。子供の私から見ても冷めきっていると思う。でもこーいうのって、子供が成人するまで待つ、もんじゃないっけ?せめて高校卒業するまで待つ、もんじゃないの?


「離婚、するの?」

「ええ。もう限界よ。」


弱い大人にはなりたくない。どっちについていっても幸せになんてなれない。パパもママもいなきゃ意味がない。それなのに限界ってなに?限界ってどこが限度なわけ?私の卒業あと3年弱。それすら待てないの?今日までやってきたのに、3年無理だった?


「分かった、明日までに決める。」


私は思っていることの半分も口にできない。心の中ではどんなに悪態をついていたとしても、口に出すのは当たり障りのないこと。面倒くさいことが嫌い。できれば目立ちたくない。だからそう、学校での友達付き合いも最悪だった。香水臭い女友達は、どこの学校の男とどこまでいったか?とかそんな話ばっかりで。ここ最近残念なことに羽振りのいいバイトを始めた友達の影響でみんながデートクラブに通い始めた。知らないオッサンとお茶したりカラオケしたりご飯食べたりしてお金を貰うっていう。私はそんなことしたくない。絶対に嫌。それなのに…


「こはる今日バイトいける?杏子が用事入っていけなくなっちゃって、お願いできるかな?」


はー何それ。絶対嫌なんだけど。なんで私に頼むの?超無理。


「あーうん。分かった…。」

「助かる!じゃあとりあえず6時に渋谷ね。」

「うん。」


6時なんて永遠に来ないで欲しい。渋谷に北朝鮮のミサイル落ちないかなぁ。そう願うしかできないなんて。

パパとママ、どっちについていくかも決めてなかった。どっちでもいいし、どっちも嫌だし。どーでもいいけど、なんならこの際一人暮らしはどうですか?って。仕送りだけしてくれたら後は自分でやるから!そう言えたらどれほどいいか。


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