幸せ者

そういえばサクラとアスカは大丈夫かなぁ。お互いにメンバーと同じ所がいいって私達3人ちょこっとだけ離れてしまったものの、本音を言えばあの2人と同じ部屋でもいいぐらいの勢いだったけど。


「あの健二郎さん、岩さんがねお披露目ライブの時物凄い緊張していた私に言ってくれたんです。7人みんな私を選んだって…。その時はなんだかよく分からなかったんですけど、後で思い出して。あれってどーいう意味か分かりますか?」


私の言葉に健二郎さんは「ああ。」小さく息を吐き出すと柔らかい笑顔で続けた。


「各グループどの子が欲しい?ってトライブメンバー会議で一人ずつ言うねん。圧倒的にサクラちゃんが多い中、俺ら三代目は7人全員一致でユーリを一番に選んでん。俺らのカラーに染まれるんはお前だけやと思う。変幻自在ができるんは、ユーリだけやって。黒一色のEXILE。白いGENERATIONS。レインボーの三代目がこなせるんはユーリだけやって。直人さんも一押しやってんで。」

「ぷっ、それなんに引越し手伝ってくれてん、健二郎さんだけやん!」


岩谷が笑うもんだからせっかくのいい話が薄れそうで。圧倒的支持を獲得したサクラよりも、メンバー全員一致で選んで貰えた私は幸せなんじゃないか?って思えたんだ。


「岩谷、うるさい。」


ジロリと睨むと睨み返された。


「健二郎さん、私もメンバーに会いたい!海外連れてってください?」

「…へ!?今から?」

「はいっ!そんなの聞かされてずるい。」

「…とりあえず岩ちゃんおるから撮影見に行く?」

「はいっ!!」


元気よく返事をすると私はくるりとランペを振り返った。イケメン担当いっちゃんのところに駆けていく。不意にギュッと手を取って握るといっちゃんが耳まで真っ赤になった。


「な、なんだよ。」

「引越し、あとお願いします!」

「え?」

「私健二郎さんと急用入ったから。終わったらいっちゃん探すからそれまで鍵預かってて。ダンボール中に入れとくだけでいいから。」


困惑するいっちゃんの隣で「ふざけんなやーお前!」超激怒している岩谷。とりあえず岩谷はうるさいから無視。


「終わったらアスカのとこ行ってあげて?ね、アスカ!アスカ可愛いでしょ、好きでしょ岩谷!」


ニヤリと笑うとやられた感満載で岩谷が黙り込んだ。フンッ、知ってんだから、アスカと連絡取り合ってること。私は戸惑ういっちゃんに鍵を預けて健二郎さんの背中を押す。


「ほんまに行くんかいな。」

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