引越し

華やかなデビューを飾ったもののどうやら三代目としての活動は秋の続編までお預けだった。EXILEのサクラも、GENERATIONSのアスカも、そして私も本格始動はこの次のイベントからで、とにかく今は既にある曲の振り付けをひたすら覚えてることになった。夏までに全部。とりあえずの今日は引越しで、海外に行ってない健二郎さんと、予定の空いていたランページ2人が手伝いに来てくれた。
マンションは直己さんと岩さんと同じ場所の8階。2人はもっと上だけど。必要最低限の荷物だけなんて思いながらもかなりの大荷物で。家具は全部3人ともにHIROさんがプレゼントしてくれた。


「…ここ1人だと寂しくないですかね?」

「なんや?今からセンチなっとったらやってけへんよ?」

「そうですけど。健二郎さん遊びに行ってもいいですか?」

「まぁ、ええよ。いや待て待て一応俺オトコ、お前女やからなぁ。」

「あは、そーいう意識いらないですから。私にはみーんなお兄ちゃんに見えてますので。メンバーですし。あ、岩谷くんそれこっち!」

「これなに入ってるん?軽いなぁ」


ダンボールを床に置くと岩谷くんがチラリと私を見た。それ下着だから、なーんて言えまい。


「忘れちゃったから後で見とくね。まだダンボールいっぱいあるからお願いします!」

「へいへーい。」


最近舞台で坊主にした岩谷くんは頭にタオルを巻いて気合い十分だ。優しそうな外見とは裏腹に飛び出す言葉は思いの外毒舌だって聞く。


「これは?」

「あ、それはリビングに。いや寝室?え、漫画ってどこ置いてる?」

「これ漫画?だからこんな重いんだ。」


そう言ったのはイケメン担当って言われてるいっちゃん。黒髪を綺麗に靡かせて汗一つかいていない、さすがイケメン担当。眩しい。


「うんどうしても置いてこれなかった。」

「後で読んでもいい?」

「え、読むの?」

「読まねぇよ!」


クシャって髪を撫でた。前髪をクシャって。さすがイケメンがすることは違う。健二郎さんにされてもキュンとはしないだろうな。なんて酷いことを思ったけれど、健二郎さんはこの部屋のレイアウトを全部やってくれて。こーいうの好きらしい。だから一度健二郎さんの部屋も見てみたいって思うわけで。


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