健二郎さんかっこいい

しかも片寄さんってジェネではいわゆるアイドル的存在で人気もあるし…。照れ笑いをするアスカの可愛さは半端ないけど、同グループでのカップルってやばいよね。そう思っているのは私だけじゃなくてサクラも一緒だったのか、困ったように目があって苦笑い。


「大丈夫、なの?」


サクラの言葉にアスカが首を傾げる。なにが?って顔で。恋愛気質なアスカは常に恋愛していたいタイプだってことは薄々気付いていたけど、まさかもう落としてるなんて思ってもみなかった。確かに色々面倒かも、こういう色恋沙汰って。健二郎さん助けて。岩谷のことを突っ込んで聞くことすら忘れて私はとりあえずランチを終えて撮影に入る前に健二郎さんに電話をかけた。


【おうどした?】
「健二郎さーん。会いたい…。」
【…は!?どないしてん?】
「今、どこですか?」
【どこってこれから事務所向かう。】
「えーじゃあすれ違いだ。私これからMVの撮影です。ランペの壱馬がね、私が三代目だからってすっごい敵対心剥き出しで。それなのに私壱馬とエロシーン撮らなきゃなんですよぉ、切なくて。せめてRIKUさんや北人くんならよかったのに、よりによって壱馬。もう臣さんに憧れすぎててアイツムカツク!後ね、この前健二郎さんが言った、惚れられると逆に面倒くせぇ…って意味がちょっとだけ分かりました。では私行ってきます!」
【おいおいおい、お前自分のことだけ言うて俺の返事聞かんのかいっ!?】
「時間ないんで、失礼します。」


電話口で健二郎さんが唾飛んでそうなぐらいなんか言ってたけど、私はLINEの通話をプチっと切った。はぁ〜やる気が出ないよ〜。これからスタジオに移動してメイクして撮影だっていうのに。憂鬱。憂鬱。

それでも仕方なく車でスタジオに入ると、そこに見覚えのあるシルエットがあって。


「おせぇよ。」

「え、なんで?なんで?臣さん?」

「健ちゃんが、様子見てこいってさー。ユーリ、やっぱ愛されてんなぁ?」


クシャって私の前髪を触って微笑む臣さんにテンションがあがる。メンバーがそこにいるってだけでなんだろうか、この湧き上がる気持ちは。


「健二郎さんってば、かっこいい!臣さん私、頑張ります!」

「エロシーン楽しみにしてるよ。終わったら飯行こうぜ?」

「はいっ!」

「あ、ユーリ!お前川村くんとやり合ったらしいじゃん?」

「げ、誰に聞いたんですか?」

「いやなんか、みんな言ってる。」


この状況を楽しんでいる臣さんは、私の後にスタジオに入ってきた壱馬の動きを止めた。目を大きく見開いてこっちを見ている壱馬。続く北人くんは臣さんに気づいて慌てて頭を下げた。
ふわりと肩を抱かれて私を誘導する臣さん。


「うちのユーリ、虐めないでね?俺こいつ可愛くて仕方ねぇから。頼むよ?」


ポンポンって壱馬の肩を叩く臣さんに、「も、もちろんですっ!」真っ赤な顔で壱馬が頭を下げた。うわ快感!壱馬にあんな顔させる臣さんてば素敵だなぁ。


「よし、んじゃ頑張ってこい!」


わざわざこれ言う為に来てくれたのかなぁ。臣さんに背中を押されて私の気合いも100%入ったんだ。

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