パートナー

「へぇ〜あんたプロ意識ないんだねぇ。」


別に葉っぱかけたつもりじゃないけど、かけなかったことでもない。挑発するようにそう言うと壱馬がバンっと立ち上がる。だから私も立ち上がって「なによ?」ジロっと睨み返すと北人くんが壱馬の手を引いて「やめろって。」宥めていて。


「私、RIKUさんとお願いしたいです。」


まさかのサクラの言葉に「私は北人さん。」続くアスカに苦笑い。HIROさんがニッコリ微笑んで「決まりだね。」そう言ったんだ。思いっきり壱馬に舌うちされたんだけど、この絵コンテで私達超ラブラブなカップルなわけで…。憂鬱。

とりあえず撮影に入る前にそれぞれお昼休憩があって、女子3人で久々にランチに来ていた。


「ユーリってば、相変わらず気が強いんだから!どーすんの壱馬くんあんな怒らせて大丈夫なの?これからラブシーン撮るのに…。」


サクラが心配そうに言うけど、私のせいじゃないと思う。確かに煽ったけど。


「でも壱馬くんもかっこいいし、ちょっと羨ましいなぁ私。」


わりとミーハーなアスカは可愛らしい女って感じの外見で天敵岩谷もお気に入り。てかアスカは岩谷のことどう思ってんだろ?


「変わる?なんなら。私北人くんがいい、むしろ。確かいっちゃんと仲良かった気がする。ってかいっちゃんの口からよく北人さんって聞いてたような…。それよりさアスカって、岩谷のことどう思ってんの?」

「…へ?翔くん?」


まさかの翔くん呼びに内心苦笑い。そりゃアスカみたいなカワイ子ちゃんに「翔くん。」なんて呼ばれちゃったら男ならみんなコロっといくかぁ。


「そう。好きって言われた?」

「ん〜どうだったけなぁ?言われたような?言われてないような?でも私、北人くんのがタイプ。涼太くんとちょっと似てるし。」


ニッコリ微笑むその頬はほんのり赤くて。もしかして、アスカってば…。思わずサクラと目を見合わせると、サクラも私と同じような顔をしていて。ちょっと近づいて声を潜めて聞いたんだ。


「もしかしてアスカ、片寄さんと?」

「え、やだ分かるぅ〜!?これ絶対内緒ね。ユーリとサクラにしか言ってないから!」

「いや私達じゃなくても分かるんだけど、その反応…。」


苦笑いのサクラに私も同情の笑いを見せた。やっぱりか。

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