ご機嫌な臣さん
「あ、臣さん。お帰りなさいませ。」
ペコりと頭を下げてそう言う私に、口端を緩めて笑う。
「ただいま。って、迎えに来てくれたの、二人?」
「はい!」
「サンキュー。すげぇ懐いてんね、健二郎くんに。」
「いやぁ、イケメンじゃないから…。」
「おいっ!」
「なるほど!気に入った。お兄さんが遊んであげる!行こうぜ。」
肩に腕を回されて臣さんに連れていかれる。なにこの香り、すんごいいい匂いするけど臣さん。香水?コロン?それとも…なんだ?目が回りそうなぐらいのいい匂いを嗅ぎながら私は臣さんと一緒に駐車場に止めてあったバンに乗り込んだ。あ、健二郎さん忘れてた?
「お前ら俺の存在無視すんな!たく。」
「ごめんごめん、お土産買ってきたよ?」
「え、ほんま?どうやった、ソロ活動は?」
「ん〜まぁ順調に楽しめたかな。」
まだ未発表だけどソロ活動をすることが決定している臣さんは、ELLYさんに続いて配信デビューを控えていた。その第一弾として韓国でMVを撮影しに行った帰りを捕まえたわけだった。メンバーはもちろん私もすこぶる楽しみで。
「どんなMVですか?」
そう聞いたら一瞬臣さんの反応が止まった。え?なんかまずいこと言った?当たり前にどんなものが来るのか分かっていない私は、その後臣さんの部屋で作りかけのMVの映像を見てソファーから転がり落ちた。
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