ガキには興味ない
「あら、緊張してるん?」
「…だってイケメンですし、臣さん。あ、登坂さん呼びのがいいですかね?馴れ馴れしいとか思われます?ねぇ健二郎さん、どう思う?」
空港のラウンジで健二郎さんに寄り掛かってそう聞く私をジロっと見て「いやお前…俺には随分慣れ慣れやんか。まんまでええよ。」ポカって健二郎さんに頭を殴られた。
「だって健二郎さんは楽なんだもん。だめですか?」
「ええよ、それで。俺も変に意識せんで楽やわ。」
「えへへへ、意識しそうだった?」
「あほう、せんわお前みたいなガキ。」
「むう。いっちゃんはドキドキしてくれたかなぁ…。」
「ああお前、気を付け。樹やっておとなしそうに見えても男やで。好きになられたら面倒やで?逆にな。」
当然の言葉なんだろうけど、なんとなく切ない。別に今更誰かと恋をする為にここにいるわけではないけど。サクラとアスカはどう、なんだろうか。
「あの、LDHって社内恋愛禁止ですよね?」
「ああまぁ。けど別にあかんことないねん。暗黙の了解っちゅうか。まぁけど気持ちは止められんもんやし、言うても好きあってる奴らも実際はおるんちゃうかな…。」
「え、誰と誰、ですか?健二郎さん知ってるの?教えて。」
「あほう、言うか、お前みたいな軽い女に。」
「ちょっと、軽いって酷いです!私軽くなんてないもん!」
バコンって健二郎さんの腕を叩いた時だった。
「何してんの?」
後ろから聞こえたイケボに肩がビクっと揺れた。振り返るとニット帽とサングラス姿の臣さんが肩からバックを下げて見ている。すごいオーラ…この人。圧倒されそうなくらいのオーラを放つ登坂広臣がそこに立っていた。
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