EXILE TETSUYAの恋人になるというのは、なかなか凄いことだと改めて思う。ただの土田哲也であるものの、土田哲也=EXILE TETSUYAだから、もしも私の存在が世間にバレたらいったいどうなっちゃうんだろうか…。
「てっちゃんどうして否定しないの?」
「…え、否定?なんのこと?」
ソファーに寝転がって珈琲をズズズと啜るてっちゃんは、同じ事務所の後輩ではなく、列記とした私の恋人だ。こんな無防備な姿は他の女には絶対に見せたくない。タンクトップと短パンで髪の毛ボサボサなてっちゃんは私だけのものでいて欲しいなんて。
スマホ画面を見せて彼女のインスタグラムをてっちゃんの目の前に持っていく。まじまじと見て「あぁ。」一言呟いた。それから天を仰いだ眼球はぐるりと回って私で止まる。その口端は緩く余裕があって…
「カモフラージュだよ。むしろわざとだよ。ゆきみのこと隠してんの。」
「…え?隠す?」
さっぱり意味が分からないんですけど。てっちゃんが否定しないせいで、彼女の暴走は留まることを知らず、ファンの怒りを無駄に煽っている。それを面白ろ可笑しいって顔で見ているてっちゃん、腹黒い!
「彼女がいるからゆきみの存在が全く出てこないでしょ?だから別になんとも思ってないし好きになられても困るけど、あえて優しくしちゃってるんだよねー。」
フフフって目尻を下げて楽しそうに微笑むてっちゃん、悪すぎる。でも、嬉しい。ちょっと…いやかなり。言っちゃえば本来なら私が受ける報いを代わりに受けてくれているんだって。
「告白、されたらどうするの?」
「断るよ。大好きな女がいるからって。別に期待される言葉を言ったつもりはねぇし。」
「ぷっ。てっちゃんって酷い男。」
私の言葉にニヤリと口端を緩めたてっちゃんは、ゴロンと転がっていたソファーから身体を起こして私の手首を掴んだ。
「それに惚れたのゆきみだよ?」
「そうだよ。いいよ私も悪い女でも。だっててっちゃんに愛されてんのは、この子じゃなくて私だもん。」
「ククク」って笑うてっちゃんは私をソファーに組み伏せた。ふわりと香るてっちゃんの香りにそっと目を閉じると世界が一瞬でピンク色に変わった。
悪女でいい
(これインスタ載せてもいい?)
(ちょっとそれ私のブラ!ダメ!)
(いーじゃん。)
(可愛く言ってもダメ!誘惑しないで!)
(ケチー。)
(………。)