「あーうー…。」
ソファーの上でそんな声をあげて早20分。
仕事でニューヨークから帰ってきた時差ボケのまま、メンバーのアキラさんと道で遭遇して、ちょうど篤志さんのお誕生日の日の昨日、そのまま飲みに行った恋人の直ちゃん。
翌朝帰ってきて寝て起きたら激しい二日酔いでぐったりしている。
お水と胃腸薬を飲んだものの効くまでしばし時間がかかりそうだった。
「お酒、弱くなってきてるんじゃないの?」
「…うそ、マジで!?あたたた、でかい声出すと頭割れちゃう。助けてーゆきみー。」
甘えた声を出して苦笑い。ちまたじゃしっかりリーダーかもしれないけれど、EXILE NAOTOの仮面を外した片岡直人は、どこにでもいる甘えん坊な彼氏だった。
私に向かって両手を伸ばしてパタパタ足を動かしている直ちゃんが、不謹慎ながらも可愛くてその手の中に身体をおさめる。
ギューって直ちゃんの温もりに包まれると安心する。
「早く治りますように。」
「もっと言ってぇー。」
「ふふふ、直ちゃん可愛い。キュンキュンしちゃうよー。」
「キュンキュンしてくれー。はーしんどい。」
弱気な直ちゃんが可愛くて頭を撫でると私の肩に顔を乗せて「癒される。」小さく息を吐き出した。
いつもいつもEXILEを背負ってる時は少なからず気を張っているんだろうなーって思う。完璧な直ちゃんをメンバーは求めているわけでもないだろうけど、三代目ではリーダーっていうお手本な存在だからふざけてるけど根は真面目だし疲れるだろうなーって。
「一緒にお風呂、入る?」
「は?」
急に言ったもんだから素っ頓狂な声をあげる直ちゃんだけど、その目は見る見る横に垂れていくというか…「エロ目だよ、直ちゃん。」くすりと笑うと眉毛を下げて口を横に開いた。
「いやだって、風呂入るって、え、そーいうこと?」
「どーいうこと?」
「よし分かった、男片岡直人、ゆきみと一緒に風呂に入る!」
そう言って立ち上がると私の手を引いて洗面所へ移動した。
「湯船の中でマッサージしてあげようかな?って思ったんだけど、直ちゃん違うお風呂を想像してる?」
くるりと振り返った直ちゃんは完全なるエロ目で私を見ている。変なスイッチ入っちゃったかな?たまには私も直ちゃんの役に立ちたいと思ったんだけど。
「…え、そうなの?なんか俺ほら帰国したばっかだからゆきみシたいのかな?って…。」
無駄に照れながら言う直ちゃんはやっぱり可愛くて。ニッコリ微笑んで直ちゃんをギュッと抱きしめる。
「まさかー。可愛いとはさっきから何度も思ってるけど、二日酔いと時差ボケで苦しんでる直ちゃんにそんなことしないって。」
「な、なーんだ。」
「あれ?残念そう?」
「いやっ、俺は別に。」
「あは、じゃあお湯が溜まったら入ろ?ね?温泉の元入れるから。」
「うん。」
可愛い人
(ほんとにマッサージだけなの?)
(直ちゃんがシたいんじゃないの?)
(…だって1週間以上お預けだったもん。)
(じゃあ、のぼせない程度にね?)
(お、おう。)
((やっぱ可愛いー。))