熱帯夜の仕返し

真横で気持ちよさそうに眠っている姿を見て無性に腹が立った。夏真っ只中。毎夜毎夜、体温の高い陸のせいで夜中に目が覚める。おかげでこの夏ずっと寝不足だった。毎日のようにステージに立ってパフォーマンスをするから生半可な体力じゃ持たないだろうって、いつもは我慢していたけど、私だって仕事に影響が出て大変なんだからねっ!コノヤロウ、起きろってんだ!


「りっくん…。」

「………。」

「り〜く…!ねぇりっくんてばぁ…。」

「………。」


やべぇこいつ、全く起きる気配ゼロだ。地震が起きても起きなさそう…。分かりました、じゃあ強行突破します。そう意気込んだ私は、陸のジャージの上からそこに触れた。当たり前に覚醒していなければ至って普通に収まっている。手でやんわり包み込むように撫で撫でを繰り返す。キスもしちゃえ!って陸の顔をこっちに向かせてほんのり開いた唇をペロリと舐めた。そのまま舌を入れ込んで口内を舐めるとさすがに吃驚したのかパチっと目を見開いたんだ。


「うわっ、なにっ!?」


甲高い声でパチクリ瞬きを繰り返す陸に甘えるように抱きつく。


「やっと起きたぁりっくん。無意識でも下半身は反応できるんだね。さすがスケベ代表!」

「…え、なに?え、なに触ってんの?てか今キスしてたよね?」

「したよ。ダメ?キスしちゃ…。」

「いやいいけど。いきなりだったから吃驚しちゃって…。どうしたの?眠れない?」


よしよしって私の頭を撫でてくれる優男陸。でもそんなことされても許さないから。でもそんな気持ち隠して下から陸を見つめあげるとヘラって笑った。


「熱くて目ぇ覚めた。ねぇりっくん…シよ?」

「え、うん。いいの?」

「ん…。」


小さく頷いてまた手を動かすと、陸が首の下に腕を回して私を抱き寄せてキスをする。寝起きでよくそこまで舌動くなってぐらいスケベ番長発揮している陸は、呼吸も鼻息も荒々しく私の舌を存分に絡ませていて…―――


「ンッ、りっくん…。」


甘い吐息を漏らす私のTシャツの中に陸の手が入って直に胸の突起を掴んで弄り始めた。わざと堪えるように声を漏らす私に興奮している陸はそのままTシャツを捲り上げて胸を食べるように貪りついた。


「ンッ、陸ぅッ…。」

「気持ち?」

「ンッ。もっと…。」

「OK!」


スイッチ入って陸が着ていたTシャツをガバリと脱いで私に跨る。指と舌を使って好きに身体中を愛撫していく陸。ようやくたどり着いたそこに手を這わして私の下着の中に指をニュルリと入れ込む。


「びっしょり。感じた?」

「ん。」

「舐めていい?」

「ん。」


強引かと思いきや優しく下着を脱がされて、陸の舌が入り込む。ああ――――気持ち。結構すぐに昇天しそうなわけで。声を少し荒げると陸の舌が奥まで入り込む。伸ばした手に指を絡めて思いっきり陸の舌で子宮の奥まで吸い込まれて真っ白になった。ビクビク肩が震えて涙が溢れる。クソ熱いこの部屋で汗だくで陸に抱かれる。



「も、ダメ…。」


口元を手の甲で拭って上にあがってきた陸にそう告げた私はそのままコテっと目を閉じた。


「え、ゆきみ!?大丈夫!?」

「ん。もう動けない…。陸ごめん…ソレ自分で処理して…。」

「…ええっ!?マジかよっ…。」


完全に覚醒してモリっとしている陸の下半身をふわりと触ると思った以上に硬くて。内心ニヤリとしながらも私は笑いを殺して目を閉じた。



熱帯夜の仕返し
(…ほんとに俺が自分でヤるの…?)
(………。)
(ゆきみ〜…。)
(………。)
(…萎えるなぁ…。てか熱ちぃっ!)
(…ぷ。)


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