CONTINUE?...04'14


コントローラーのボタンを押せば
画面に血飛沫が広がった











そんなことにはもう、何も感じなくなっていた。
昔は、達成感があった。ゲームを攻略することに楽しみがあったりした。
今は何もかもがどうでもいい。

俺はそんな腐った奴。


「おーい、切原クンー生きてるかー」
「…そう簡単に死なねーっスよ」
「まぁそりゃそうやな」

アンタは、何も変わってない。
出会った頃からキラキラ眩しくて。
こんな俺になっても、変わらない。

「ほんまゲーム好っきゃなぁ」
「んー…まぁもう好きっていうか、なんなんすかね」
「はは、なんやそれ」


アンタが、笑うのに。
なんだか近頃現実味がない。
画面の中みたいだ。

声はフィルターを通したみたいにぼやけていて。
笑顔は液晶の中みたいで。

「……死んだらどうなんのかな」
「え?」
「、や、なんでもねっす」
「そか?まぁ、無理強いはせぇへんけど、…たまには外出よな」
「…」

返事は返さなかった。
それに困ったような、顔も。

「ほな俺、そろそろ行くな、また来るわ」

見送る、背中も。

















もしかしたら、画面の中だったりして。

「だったらコンティニューとか、あったりすんのかな」

俺の中で何かがぶっ飛んだ。


















「切原クン?入るでー」

ずっとわからないことがあった。
ずっとわかんないと思ってきた。
けど、

「白石さん」
「…切原君?何の冗談や」
「気づいたんすよ俺、毎日毎日同じ画面だって」

眠ったらゲームオーバーになるんだ。
セーブしてないからふりだしに戻って。
同じことの繰り返しで。

アンタが来て。
俺に笑って。


そんな、毎日のゲームオーバー。

「それでもいいなって、思ってるんですけど、せっかく気づいたから知りたいんです」
「知りたい?」
「アンタが居なくなったらどうなんのかなって、俺からアンタが消えたら、」


俺には明日が来るかもしれない。
毎日じゃない、明日が。


「何、言うてるん…?」
「そろそろ最終ステージ行けるかもしれないんっすよね」
「切原クン!!!」
「黙って潰されてくださいよ」

あー、久々かもしんねぇ、この感じ。
それくらい熱くなることがなかったのかもしれない。
アンタに出会って、死んでしまったかと思っていた俺の中の悪魔は長い年月を経て、この身の奥底で増幅されていたようだ。

「、っかは」

いやにあたたかい。
首を絞める両手を、掻き毟られる痛みがやけにリアルだ。


おかしいな。


最初は、ナイフで刺してさっさと終わらせてしまおうと思った。
構えて待っていたけど、やっぱりやめて。絞殺ってやつにしてみようと思って。
けど案外殺せないもんで、俺の体力ゲージ減ってんじゃねぇかな。
長期戦は分が悪い。

傍らに落ちていたナイフを、もう一度手に取る。

「さようなら、白石さん」

綺麗な首筋に振り下ろせば、真っ赤に染まっていった。
あたたかい。何か言葉を発するようにパクパクと動いていた口も、少しすれば動かなくなった。

あぁ、アンタ、死んだのか。


「………」

心にぽっかり、穴でもあいてしまったんじゃないか?そんな気分になった。
動かない人に目を向ける。
見開かれたままの綺麗な、けれどもう光を反射することのない瞳。
流れ出ることのなくなった血液。

あぁ、これが、俺の毎日を作っていたアンタが死んだ世界の感覚。


…間違って、いたんだ。
コンティニューはゲームオーバーしないと使えない。
俺は、もう明日へしか進めない。
後戻りはできない。
アンタの居た毎日には、もう戻れない。

やっぱりここは現実世界で、俺は、

「、白、石さっ…」


どうしようもない、馬鹿だ。




どこかにリセットボタンがないかなんて、まだ思っているんだ。
もう何も、戻ってこないのに。

こんなはずじゃなかった、なんて、思えるようになった時にはもう遅い。







+++*


引きこもり赤也と大学生くらいの白石。
ゲーム脳というかなんというか。人間的なあらゆる意識の低下。現実の飽和。

まぁあんまり難しいことは置いといて私の中で白石は赤也の世界にとっての神様なので、神の消滅=世界の終わりというかそんなのをふわっと書きたくて。





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