and

「ねえねえ室ちん、」


「何だ?アツシ、」


「もし皆が、自分が一番欲しい才能とか能力とかを持って生まれたらさ、」


「…」


「世界は酷くつつがなく進行するものなのだろうね。」








氷室と、敦と、中途半端でずれた才能。








「俺も、室ちんに殴られたりしなくて済むし、」


「ああ。」


「室ちんも、泣かなくて、済むし、」


「…」








氷室と、敦と、澄みきった空。








「アツシ、」


「んー?」


「もし世の中がそういう風に出来ていたとしたら、」


「うん、」


「お前が言うように、きっとこの世は酷く穏やかになるのだろうな。」


「…うん。」








氷室と、敦と、世界平和、の、幻想。








「でもさ、アツシ、」


「、ん?」


「もし世界がそんな感じに回っていたら、俺はアツシと会えなかったな。」








氷室と、敦と、”それは、”








「それは」


「ぅん、」


「すごく、寂しいヨノナカだね。」


「うん。」


「俺は、ヤだ。」


「うん。俺もだよ。」








氷室と、敦と、”それは、嫌かも”








「アツシ、赤司くんにだって会えなかったかもしれないね。」


「えー…それはもっとヤだし!」


「ハハハ、こら、もっとチームメイトの方を大事にしろよ、」


「赤ちんと出会えないのヤだ。室ちんと会えないのもヤだ。」


「うん。」








氷室と、敦と、”会えて、ありがと”。








「室ちん、」


「何だ?アツシ、」


「会えて、ありがと。」


「こちらこそ。アツシ。」








氷室と、敦と、





…出会えて、幸せ。





これからもよろしくね。








end.

13.05.01


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